産業機械November 13, 2023

【バーチャルでひも解く世界】21:ロボットとバーチャルも健康経営に貢献

工場やロボットのバーチャルツインの活用事例をご紹介します。
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Avatar 小林 敦志 (Atsushi Kobayashi)

こんにちは。ダッソー・システムズで産業機械業界のコンサルタントをしております、小林 敦志です。主に海外のプロジェクトや日々のニュース、または当社ならではの情報を、私の目利きでお伝えします。日々変容する社会・製造・ITのトレンドを皆様に共有できればと思います。

今月、2023年11月29日から東京ビッグサイトで国際ロボット展 iREX2023が実施されます。ダッソー・システムズも、来場者の皆様に実際にバーチャルとリアルを体感頂けるように、豊電子工業と協同で出展します。こちらのリンクから詳細をご確認ください。豊電子工業は、生産ラインのバーチャルコミッショニングを実現するため、ダッソー・システムズのソリューションを採用いただきました。ご担当の方からは、「仮想試運転を活用しながら設計することで作業クオリティ、サイクルタイム、スペースレイアウト、動線などがユーザーニーズにフィットするかを見極めながらエンジニアリングを進めることができる」と好評です。東京ビッグサイトでは、その実際の姿を体感することができます。是非、ご来場ください。

世界の事例を見ると、工場でバーチャルを活用している例が多く見つかります。スキンケア製品で有名なロクシタンもその例です。持続可能なスキンケア製品を販売しているロクシタンは、工場の中の作業者の環境にも、持続可能性を追求しています。

作業員が良好な姿勢を保って快適に働けるようにワークステーションを構成するため、生産現場のバーチャルツインを作成し、現場の状況をシミュレーションしています。ロボットや設備の挙動と作業員の動作が干渉しないように、デジタルの中で、事前に確認して、ワークステーションの改善案を検討しています。

さらに、バーチャルツインのメリットとして、人の目では見えないものを見えるようすることで、作業者の環境を改善することができます。工場内の空調設備の動きを把握し、感染を防いだり、ワークステーションの熱分布を見える化したりすることで、問題となる箇所をピンポイントで把握して対策することが可能です。

日本の視点では、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、将来的な収益性向上への投資となる「健康経営」と捉えると、理解し易いかもしれません。

また、エネルギーに関わる取組では、ロクシタンは現時点で、工場で必要な電力の最大25%をソーラー発電パネルなどでまかなっています。これを2030年までに90%に引き上げる目標があり、この目標達成に向けて、空調に関する電力需要データの取得も不可欠です。

ロクシタンは、2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロを実現するための「Climate Strategy(気候戦略)」を発表しています。日本でも消費者のマインドセットや行動様式の変化が見え始めるフェーズに入ります。日本も製造業、大手小売業を中心に持続可能性に対する戦略をレベルアップしなければなりません。ダッソー・システムズは、今までバーチャルツインや仮想試運転は、製造ラインの新設や改造に貢献すると、ご説明してきました。先進的なお客様は、ダッソー・システムズの考えよりもさらに進んで、エネルギー全体や持続可能性の検証に、バーチャルツインを利用されています。

ロクシタンの例は、ロボットの利用者側の視点となりますが、ロボットを設計、開発する際にも、バーチャルツインが役立ちます。ロボットをどのような用途に使うか、どう使われるか、どのような法規制に準拠する必要があるか、は手探りのことがまだまだ多いです。さらに、スタートアップ企業が多いこともあり、大きな投資が難しいのも現実です。前回ご紹介した、シェフアシスタントロボットのDexai Roboticsが典型的な例です。そのようなスタートアップの苦労、コツを聞くことができるWebinarが実施されます。参加登録はこちらです。英語のWebinarですが、国際ロボット展 iREX2023にお越しになる前に、生の苦労と解決策が把握できる良い機会かと思いますので是非ご視聴ください。

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