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産業機械February 3, 2021

バーチャルでひも解く世界 5:カスタマイズと量産の両立

製造業で課題となる、カスタマイズか量産かを各社の例をもとにご紹介します。
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Avatar 小林 敦志 (Atsushi Kobayashi)

ダッソー・システムズで産業機械業界のコンサルタントをしております小林 敦志です。世界140か国、2万人が働いている当社では、自動車・航空・海洋・産業・医療業界など様々な業界において多岐にわたるプロジェクトを動かしています。この「バーチャルでひも解く世界」では、主に海外のプロジェクトや日々のニュースまたは当社ならではの情報を、私の目利きでお伝えしながら、日々変容する社会・製造・ITのトレンドを皆様に共有していきたいと思っています。

今回は、製造業で課題となる、カスタマイズか量産かを話題とさせていただきます。

“Can machinery be both custom designed and mass produced?” 「マシンはカスタマイズと量産の両方に対応できるのか?」 2020年10月2日 レベッカ・ランバート

以下、例によって、超訳です。

石油などを運ぶエネルギー物流事業者は、エネルギーに制約がもうけられる、低炭素という未来に直面しています。一段と、効率、効果が求められ、持続可能なビジネスを実現するため、高品質で革新的な産業機械の技術への期待が高まっています。

インドネシアのPT United Tractors TBKグループの子会社であるPT United Tractors Pandu Engineering(UTPE)は、エネルギー物流事業向け重機の最大手のサプライヤーです。同社は、製造・エンジニアリングシステムと高度な技術を組み合わせることで高い評価を得ており、信頼性と生産性が高く、環境にやさしく、迅速で、納期を厳守して製品の製造が実現できています。同社のお客様は、UTPE社のカスタマイズできるオプション群、製造の柔軟性、アフターサービスでの保証を特に高く評価しています。最先端の技術を採用し、開発することは、ビジネスの将来にとって非常に重要です。

製品開発をスピードアップし、より多くのカスタム製品を製造するため、UTPE社は3DEXPERIENCEプラットフォームを導入し、設計プロセスを簡素化し、データを一元化しました。これにより、設計者とエンジニアは、既存の設計を再利用し、設計変更を効果的に渡し、増加するコンポーネントやパーツのライブラリをよりよく監視することができます。

エンジニアは新しいカスタム製品を共同作業が簡単にできるようになり、既存の設計を参照し設計変更を迅速に処理できます。高品質の3D画像をマーケティング部門と共有し、販売促進にも利用しています。

3DEXPERIENCEプラットフォームのビジネスへの影響が最も大きいのは、エンジニアリング部門です。カスタム設計でありながら大量生産された製品を販売するという同社の市場アプローチに対応するのに役立っています。

3DEXPERIENCEプラットフォームを使用したUTPE社の道のりと、デジタル化されたデザインプロセスがどのようにビジネスを推進しているかについての詳細は、ケーススタディの全文をお読みください。

以上がBlogの内容です。UTPE社はインドネシアでフォークリフトや、トレーラー、コンクリートミキサーを主製品とし、1983年創業で、設計のイノベーションから、アフターサポートまでを実施する企業です。
https://www.3ds.com/insights/customer-stories/pt-united-tractors-pandu-engineering

設計のスピードアップ

UTPE社では、顧客の独自の要件に対応しつつ、製品開発と生産をスピードアップする新たな方法を模索していました。そのためには、設計者と技術者が既存の設計を再利用し、変更があっても効果的に協力し、増加する部品数やライブラリをよりよく確認できるようにして、設計業務を簡素化する必要があることを認識していました。

3DEXPERIENCEプラットフォームで技術者は製品をより速く、より正確に設計することができます。なぜなら、データが集約されているため、必要なコンポーネントを簡単に取り出すことができるからです」と設計エンジニアリング部門の長であるAnnas F. Habibie氏は述べています。

「SOLIDWORKS 3D CADソフトウェアとENOVIAを3DEXPERIENCEプラットフォーム上での協働開発に使用したため、設計変更の処理も容易になりました」とAnnas氏は述べています。

「トレーラー製品の設計業務にSOLIDWORKSの設計ソフトウェアを使用し、ENOVIAを使用してソリッドモデルのデータを管理するようになりました。」とAnnas氏は述べています。「SOLIDWORKSの最も効果的で便利な機能は、既存の設計リファレンスを利用し、トップダウンで設計変更を迅速に処理できるということです。この手段は、スケッチの段階でで作成された参照フィールドとラインを、追加で修正が行われていっても変更に追従でき、設計プロセスのスピードアップにつながります」と述べています。

現在では、エンジニアは顧客の要望に対応しつつ、革新的な新製品の開発に注力したり、マーケティング部門と高品質の3D画像を共有して継続的な売上を上げるなど、社内でより価値の高い活動に取り組む時間を増やすことができるようになりました。Annas氏は、「3DEXPERIENCEプラットフォームのビジネスへの影響が最も大きいのは、主にエンジニアリング部門です。特に、カスタムデザインでありながら大量生産された製品を販売するマーケティング部門に追いつくのに役立っています」と述べています。

データの明確化

ENOVIAを使用することで、UTPE社は一元化されたデータベースを利用し、全社での情報共有、設計の再利用、簡単な部品検索、設計変更時の部門をまたいだ共同作業を効率的に実施ができます。

大きくなる部品ライブラリ – バルク材、油圧、機械、ランニングギア、アダプター取付部品を含む – の適切な取り扱いは、重要な目標でした。ENOVIAのコラボレーションに支えられ、技術者は、新設計の開発や、製品開発業務での設計変更の処理に必要な情報に、適切なタイミングでアクセスできるようになっています。

CADとBOMの同期

UTPE社が3DEXPERIENCEプラットフォームを選択した理由の一つは、既存の複数のCADソフトウェア環境やERPシステムとシームレスに統合できることでした。

SOLIDWORKSとENOVIAを使用することで、UTPEはCADとERP間で情報を同期させ、設計部品表(EBOM)と製造部品表(MBOM)を自動で生成できます。これまで時間のかかる手動の業務でしたが、技術者はCAD図面からどの部品がどれだけ必要かを正確に把握できるため、今では迅速かつ効率的な作業が可能です。また、設計者は、どの部品が使用可能なのかを確認でき、設計と材料の効率化となります。

長期的なメリット

設計、部品、コンポーネントのライブラリ全体を新プラットフォームに移行するのは時間のかかる作業でした。しかし、UTPE社は、その努力がすでに報われたと考えています。

「当社は今後もグローバル市場で競争できると確信しています。なぜなら業務の上流で、より速く、より正確にデータを処理し、作業センタレベルまでのアクセスが提供できるソフトウェアがあるためです。」

PT Citra社は、導入後も継続して、ソフトウェアの価値を最大限に引き出すため、カスタマイズやトレーニングなどのサポートを実施しています。UTPE社は長期的な技術パートナーとしてダッソー・システムズを信頼しています。

「ダッソー・システムズが提供するデータ管理ソリューションは、当社のニーズに最適です。彼らとの関係は非常に良好で、システムの導入はプロとして責任を持って実施しています」とAnnas氏は述べています。

________

今回は和訳が多くなりました。

産業機械業界では、どうしても「個」客仕様に対応するため、設計部門がどんどん作業して新しい設計や図面を作成してしまうかと思います。それを自社のライブラリを整備して、再利用を業務に組み込み、コストと品質を両立させなければならないのは宿命かと思います。各社いろいろなノウハウがあると思います。すこしでも各社の例を参考にいただければ、と思います。

海外の様々なトレンドを紹介する「バーチャルでひも解く世界」、いかがだったでしょうか。産業機械業界担当コンサルタントの小林でした。

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