産業機械January 17, 2022

【バーチャルでひも解く世界】15: IEEEの予測 2022年の注目テクノロジー

ダッソー・システムズで産業機械業界のコンサルタントをしております、小林 敦志です。主に海外のプロジェクトや日々のニュースまたは当社ならではの情報を、私の目利きでお伝えしながら、日々変容する社会・製造・ITのトレンドを皆様に共有していきたいと思っています。  
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Avatar 小林 敦志 (Atsushi Kobayashi)

ダッソー・システムズで産業機械業界のコンサルタントをしております、小林 敦志です。主に海外のプロジェクトや日々のニュースまたは当社ならではの情報を、私の目利きでお伝えしながら、日々変容する社会・製造・ITのトレンドを皆様に共有していきたいと思っています。

みなさま、新年あけましておめでとうございます。昨年の後半はなかなか投稿できていませんでしたが、今年はなんとか投稿していきたいと思います。

年初は新年の予測や近未来の予測が定番の話題ですね。海外でも同じようで、今回は当社の北米ブログの記事を読み解きながら、IEEEによる技術トレンド予測を紹介します。

アメリカに本部を置く電気・情報工学分野の技術標準化機関であるIEEEが2022年以降の技術のインパクトを公表しています。金融、消費財、教育、電子、エネルギー、政府、ヘルスケアなどの各種業界で1,000人以上の組織のCTO、CIO、ITディレクターなど350人に向けて、同機関が実施したアンケートに基づいています。

「2022年の主要技術は?」という質問に対して、AI・機械学習、クラウド、5Gがトップ3にあがっています。

出典:”THE IMPACT OF Tech IN 2022 AND BEYOND”

https://transmitter.ieee.org/impact-of-technology-2022/?_ga=2.196719023.2055497827.1639453213-95367982.1637250576

また「パンデミック下の2021年に導入が進んだ技術は?」という質問には、60%が、2021年で導入した技術としてクラウドコンピューティングを、51%がAI・機械学習を、46%が5G、さらに31%がAR/VR/MR(拡張現実、仮想現実、複合現実)をそれぞれ導入したと回答しています。筆頭となるAIについては、「イノベーションの実現を牽引する」に強く同意した回答者が66%、「なんらかの貢献」に同意した回答者は95%にも上ります。

また第二位につけている5Gですが、今後の用途としては遠隔手術・遠隔医療(24%)、遠隔教育(20%)、日常のコミュニケーション(15%)、エンターテインメント(14%)、そして、製造(13%)があげられました。医療や教育のニーズが上位に来ているのは、パンデミックの長期化と関係しそうです。日本で同様のアンケートを行ったとしたら、どのような用途が最上位にくるでしょうか。

同じく2021年に導入が進んだ技術として「リモート会議」をあげた回答者は全体の25%でした。この数値をどうとるかですが、小林としては、既に米国ではコロナ禍以前にリモート会議が導入されていて、パンデミックを機に改めて導入した企業の数値がパーセンテージに表れているのではないかと考えます。

さらにこのアンケートでは、ハイブリッドワーク(リモート作業とオフィス作業の両立)の課題についても考察されています。テーマとしては、オフィスへの入退室、日々のオフィス利用状況、各種のプロトコル(従業員の安全確保・健康管理のための手順)など基本的なものから、従業員の生産性、メンタルヘルス、トレーニングまでが、今後の技術としての拡充を期待される一方、83%の方が、「サイバーセキュリティの取り組みが必要になる」と回答されています。自宅作業に伴いスマートフォン、タブレットの使用が増えたことが理由の一つです。また調査対象者の51%が、ロボットや車両、ドローンなど、センサー類を搭載するデバイスの使用が以前と比較して50%以上増加したと回答しています。

他にも、2022年以降に期待できる技術として、ロボット、ドローン、ブロックチェーンがあげられています。今後5年の間に、現在の業務の4分の1が、ロボットの導入により強化される想定です。製造・組立現場へのロボット導入はもちろん、ヘルスケア、地中探査・宇宙空間の探査、カスタマーサービス、農業と、非常に広範囲での利用が期待されています。ドローンは特に企業用途、たとえば監視によるセキュリティ強化、ラストワンマイルの顧客配送、そして自社内配送での活躍が予測されています。最後にブロックチェーンについては、暗号通貨以上に多岐にわたる活用が考えられています。回答者の61%がIoT機器間の通信への活用を期待しており、その他、荷物の追跡や非接触型取引、医療記録などが今後の活用例として待たれています。

今回のIEEEの調査の回答者は、米国、中国、英国、インド、ブラジルの350人の技術リーダーで構成されました。残念ながら日本の方が含まれておらず、国内の印象とは違うかも知れません。しかし、これらの技術のユーザーとしての期待値だけでなく、自社製品に取り込むための今後のトレンドとしても重要かと思います。

海外の様々なトレンドを紹介する「バーチャルでひも解く世界」、いかがだったでしょうか。産業機械業界担当コンサルタントの小林でした。

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