ダッソー・システムズでは、社員に対して「IFWE(もし◯◯ができたならば)、世の中をこのように変えられるのではー」という4つの価値基準(コア・バリュー)を掲げています。
お客様の課題解決であれ、社会に関わる取り組みであれ、これらの価値基準をもとに自らに問いかけ、チームを作り、アイデアを形にしていきます。
この「IFWE日記」シリーズでは、パラアスリートとして車いす競技で活躍し、起業家としても活動する当社の社員、官野一彦(かんの・かずひこ)が、どのようにこの4つの価値基準を体現しているかをお伝えしていきます。


8月23日から9月2日にかけて、ベルギーのロンセで開催されたパラサイクリング世界選手権に出場しました。競技を始めて以来、ずっと目標としてきた大会であり、今年からはナショナルチームのジャージを着て、連盟の推薦を受けて臨む特別な舞台でした。パラリンピックの次に位置づけていた大切なレースに向けて、日々トレーニングを積み重ねてきました。
しかし、レースの2週間ほど前から慢性的な熱中症と脱水症状に悩まされ、思うようにトレーニングができない状態が続きました。出発の1週間前には、自転車を30分漕ぐことすら難しいほど体調が悪化。思い切って出発直前まで完全休養を取り、なんとか現地に向かいましたが、万全な状態とは言えませんでした。

結果は、タイムトライアル・ロードレースともに9位。入賞を目標にしてきただけに悔しさが残りました。何より、ベストコンディションで臨めなかったことに対する口惜しさと不甲斐なさを強く感じました。大会が終わってからこのブログを書くまで少し時間がかかったのは、その気持ちの整理に時間を要したからです。
今年は、6月の日本選手権でのメカトラブル、そして今回のコンディション不良と、大切な場面でのミスが続いてしまいました。ただ、それは挑戦を重ねてきたからこそ生まれた課題でもあります。自転車のアップデート、新しいトレーニングの導入など、「もっと良くしたい」という思いで取り組んだ結果の失敗でした。現状に満足せず、「これでいいのか」「もっと良い方法があるのでは」と常に問いかけながら、自分をアップデートし続けることが大切だと感じています。
ミスを認め、また挑戦する。その積み重ねこそが成長につながると信じ、これからもトレーニングを続けていきます。今シーズンの世界ランキングは4位で終了しました。一昨年より去年、去年より今年と、着実に結果もランキングも上がっています。悔しさも含め、すべての経験を糧にして、2028年ロサンゼルス・パラリンピックに向けてさらに前進していきます。

<官野一彦のIFWE日記 バックナンバー>
官野一彦のIFWE日記:第25回 イタリア大会で見えた世界との差
官野一彦のIFWE日記:第24回 ベルギーワールドカップで初入賞!
官野一彦のIFWE日記:第23回 ヨーロッパ遠征でつかんだ感触
官野一彦のIFWE日記:第22回 新シーズン開幕—アジア選手権での挑戦
官野一彦のIFWE日記:第21回 パリの夜を駆け抜ける :モビリティ・ナイト・ライドに参加して
官野一彦のIFWE日記:第19回 すべての人のためのインクルーシブなモビリティの実現に向けて
官野一彦のIFWE日記:第18回 パリパラリンピックの選考結果を受けて
官野一彦のIFWE日記:第16回 ワールドカップ ベルギー大会
官野一彦のIFWE日記:第15回 アメリカでの強化合宿とレース
官野一彦のIFWE日記:第14回 オーストラリアでのパラサイクリング ワールドカップ
官野一彦のIFWE日記:第12回 国立障害者リハビリテーションセンター研究所との取組み
官野一彦のIFWE日記:第11回 アラバマ州での遠征を終えて ~コミュニティの力が1つになれば手を取り合ってゴールを目指せる~
官野一彦のIFWE日記:第10回 ヨーロッパ遠征~学ぼうとする情熱が創造性を高め未来への懸け橋となる~
官野一彦のIFWE日記:第9回 周りに感謝し、手を取り合って前に進む
官野一彦のIFWE日記:第8回 濃霧で視界が悪い中での挑戦 | 米国テキサス州遠征での学び
官野一彦のIFWE日記:第6回 トレーニング場所を巡る葛藤、米国での驚き、そしてユニバーサルジムの設立へ
官野一彦のIFWE日記:第5回 不貞腐れていた時期、気付き、そして恩送り
官野一彦のIFWE日記:第4回 シドニー以前と以後 挑戦と成長のサイクルを信じる
官野一彦のIFWE日記:第3回 五輪金メダル獲得に向けて・・・コミュニティと一緒に歩んだオリンピックロード
