People ProfilesAugust 31, 2023

官野一彦のIFWE日記:第13回  フランス、スペイン遠征

フランス、スペインの計5レースに参加しました
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Avatar 官野一彦 (Kazuhiko Kan’no)

ダッソー・システムズでは、社員に対して「IFWE(もし◯◯ができたならば)、世の中をこのように変えられるのではー」という4つの価値基準(コア・バリュー)を掲げています。 お客様の課題解決であれ社会に関わる取り組みであれ、これらの価値基準をもとに自らに問いかけ、チームを作り、アイデアを形にしていきます。 この「IFWE日記」シリーズでは、パラアスリートとして車いす競技で活躍し、起業家としても活動する当社の社員、官野一彦(かんの・かずひこ)が、どのようにこの4つの価値基準を体現しているか、ブログ形式でお伝えしていきます。

こんにちは。官野です。今回はヨーロッパ遠征編です。フランスではプロエルメル、ボンリュー、プルエで行われる3レースの合計でチャンピオンを決めるステージレースに参加。場所を移してスペインで2レース、計5レースに参加してきました。今回の遠征の目的は、UCI(国際自転車競技連合)ポイントを多く取って世界ランキングを上げることと、経験を積むことを目的としていました。

シャルルドゴール空港から車で5時間移動し、プロエルメルという街に来ました。プロエルメルを拠点に8泊し、ボンリュー、プルエに車で移動して合計5日のレースに参加しました。8日間各地を移動しましたが、見つけた信号は2箇所だけという長閑な地域でした。

プロエルメルは、平地をベースとした登り下りもあるコースでした。結果1位でゴールできて、国際レースで初めて1位を取れました。知り合いの日本人の方も応援に来てくれて嬉しかったです。

2戦目はプロエルメルから1時間ほど移動した街、ボンリューでのレースでした。今回の遠征の5レースの中で圧倒的に難しいコースで、登り下りが多く、直角コーナーや鋭角コーナーが多く曲がりきれず転倒する危険を感じていました。7kmを5周しましたが、3周目に直角コーナーを曲がりきれず転倒してしまいました。幸い転んだ先が草むらで大きな怪我もなくレースに復帰、結果逃げ切り1位でゴール。登り坂の弱さが露呈してしまったレース内容でした。

ステージレース最後の3レース目はプルエ。このコースは登りと下りしか無いコースでした。この日は木曜日でしたが、木曜日は障害者レース、金曜日はジュニアレース、土曜は女子プロレース、日曜は男子プロレースが行われる、街をあげた大きなイベントで、観客席や食堂も立派なレースでした。6㎞を6周の36㎞のレースで、苦手な登りで抜かれて下りと少ない平地で抜き返すレース展開でしたが、最終ラップで力尽きて、登りで離されて抜き返せず12秒差で2位でした。

ステージレースとしては1位、1位、2位で、総合1位で終了。登りが苦手というはっきりした結果が出てくれたおかげで課題が見つかり良かったです。

その後、スペインバレンシアに飛行機で2時間南下し次のレースへ。気温は高く湿気の無い気候で日陰にいればとても過ごしやすいですが、日差しが強くトレーニングは大変でした。今回のレースはバレンシア郊外のシャティバという街でのロードレースとタイムトライアルでした。シャティバは山の頂上にお城があったりする、山の中の古い街並みが素敵な街でした。

初日のロードレースのコースは山の中流から登り下り、コーナー、平地全て網羅した複合コースでした。7kmを5周のコースでしたが、2周目から独走になり1位でゴール出来ました。道も綺麗で走りやすく、楽しく走れました。街の理解や街頭の応援から、改めてヨーロッパは自転車の本場だと感じました。

翌日は、シャティバの街の中心部を封鎖して行う、短い距離を一人ずつ速さを測り競うタイムトライアルレースです。観光地であるバレンシア海からスタートし、車や電車を止めて街の中心地で行うレースの規模に感動しました。13㎞の平地を駆け引き無しでただ速く走るレースは完全に自分との戦いで、短い距離ながら全て出し切る事が求められます。スタートすると街頭の応援や、広い道を独占して走れることに興奮しましたが、興奮を抑え、とにかく腕を回して速く走る事にだけに集中しました。結果タイムトライアルも1位で終えてフランス・スペイン遠征の5レース中4勝出来ました。目的であったUCIポイントの獲得や、多くの経験が出来て満足しています。明確な課題を日本に持ち帰ってしっかりトレーニングしていきたいと思いました。

フランスとスペインのレースの間に、パリ郊外にある本社に寄って会社の仲間と会えたこともとても良いモチベーションになりました。

次回は、オーストラリアでのワールドカップです )

パラサイクリングとは

パラサイクリングは、1984年のニューヨーク・アイレスベリーパラリンピックにてロードが正式競技となり、1996年のアトランタパラリンピックにてトラックも正式競技となりました。視覚障害と運動機能障害の選手が出場する種目で、障害のクラスに応じて使用する自転車が異なり、通常の2輪自転車、3輪の自転車、手でペダルをこぐハンドサイクル、視覚障害の2人乗りタンデムの4種類があります。

<官野一彦のIFWE日記 バックナンバー>

官野一彦のIFWE日記:第12回 国立障害者リハビリテーションセンター研究所との取り組み

官野一彦のIFWE日記:第11回 アラバマ州での遠征を終えて ~コミュニティの力が1つになれば手を取り合ってゴールを目指せる~

官野一彦のIFWE日記:第10回 ヨーロッパ遠征~学ぼうとする情熱が創造性を高め未来への懸け橋となる~

官野一彦のIFWE日記:第9回 周りに感謝し、手を取り合って前に進む

官野一彦のIFWE日記:第8回 濃霧で視界が悪い中での挑戦 | 米国テキサス州遠征での学び

官野一彦のIFWE日記:第7回 米国フロリダ州遠征での学び

官野一彦のIFWE日記:第6回 トレーニング場所を巡る葛藤、米国での驚き、そしてユニバーサルジムの設立へ

官野一彦のIFWE日記:第5回 不貞腐れていた時期、気付き、そして恩送り

官野一彦のIFWE日記:第4回 シドニー以前と以後  挑戦と成長のサイクルを信じる

官野一彦のIFWE日記:第3回 五輪金メダル獲得に向けて・・・コミュニティと一緒に歩んだオリンピックロード

官野一彦のIFWE日記:第2回 海難事故、代表選考からの落選・・・困難を乗り越えてパラ五輪メダルで得たもの

官野一彦のIFWE日記:第1回 ”四足”のわらじでパラアスリートを支援 パラ五輪メダリスト・起業家 官野一彦

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