ダッソー・システムズでは、社員に対して「IFWE(もし◯◯ができたならば)、世の中をこのように変えられるのではー」という4つの価値基準(コア・バリュー)を掲げています。お客様の課題解決であれ社会に関わる取り組みであれ、これらの価値基準をもとに自らに問いかけ、チームを作り、アイデアを形にしていきます。この「IFWE日記」シリーズでは、パラアスリートとして車いす競技で活躍し、起業家としても活動する当社の社員、官野一彦(かんの・かずひこ)が、どのようにこの4つの価値基準を体現しているか、ブログ形式でお伝えしていきます。
皆様こんにちは、ダッソー・システムズの官野です。
今回、久しぶりのブログ執筆となりますが、私がダッソー・システムズに出会い入社するまでの経緯については第1回のブログをご覧ください。
さて、2024パリパラリンピックに向けて、今年は勝負の年になります。具体的には、自転車競技(パラサイクリング・ハンドサイクル)での日本代表入りを目標に、ワールドカップや強化遠征で海外を転戦する予定です。
年初の強化遠征は、アメリカのフロリダ州ゲインズビルで行わる『Swamp Classic』というレースでした。このレースはアメリカの数多くのハンドサイクリストがアメリカ代表入りを目指して参加する大きなレースです。コロナの影響もあり今まで海外のレースに参加できなかったため車いすラグビーからパラサイクリングに競技転向をしてから、今回が私にとって初めての遠征になりました。空港で自転車を入れた専用の箱が、エアラインのサイズ制限を超えてしまっているという理由で、自転車を飛行機に載せてもらえないトラブルからスタートしました。結局、自転車だけを別便に載せる緊急対応をとりましたが、その後も自転車が手元に着いたのがレース前日であったこと、レース前から不調が続いており肩痛の症状が悪化したことや、並行して帰りの飛行機の荷物調整が必要になるなど、万全とはいえない状態でレースにのぞみました。ともあれ、無事にレースを終えられたことにほっとしています。
Swamp Classicでは、20マイル(約32㎞)のタイムを競うロードレースと、35分間で何メートル走れるかの走行距離を競うレース、計2つのレースに参加しました。結果は振るわず悔しい気持ちはありますが、ワールドチャンピオンや同じ障害レベルの速い選手と走れた事で多くのことを学べた実りある遠征になりました。
遠征だけでなく、遠征にあたって気を付けるべきことや、海外選手の自転車のセッティング、環境の違い等多くを学ぶことができました。 例えば、アメリカ人のある選手から聞いた話によると、彼らは自宅の傍のガレージを開けたら、ガレージ内に停めてある自転車に直接乗ってすぐに家の近辺でトレーニングができるそうです。日本では、トレーニングのためには自転車を車に乗せてトレーニング地の山奥まで運転せねばならず、移動するだけで数時間の時間と体力を消耗することになります。このような、アメリカと日本の選手のトレーニング環境の違いに大変驚きました。
遠征や合宿が続くので、学びを実践すること、怪我をしないことを意識して、5月のワールドカップ(ベルギーやアメリカで開催)に向けて仕上げていきたいと思います。
最後に、競技を支え、応援してくれている当社のダッソー・システムズ株式会社に感謝します。私自身、社会の『ゲームチェンジャー』になれるよう精進していきたいです。
次回は、テキサス州ガルベストンのレース編です。
パラサイクリングとは
パラサイクリングは、1984年のニューヨーク・アイレスベリーパラリンピックにてロードが正式競技となり、1996年のアトランタパラリンピックにてトラックも正式競技となりました。視覚障害と運動機能障害の選手が出場する種目で、障害のクラスに応じて使用する自転車が異なり、通常の2輪自転車、3輪の自転車、手でペダルをこぐハンドサイクル、視覚障害の2人乗りタンデムの4種類があります。
<官野一彦のIFWE日記 バックナンバー>
官野一彦のIFWE日記:第6回 トレーニング場所を巡る葛藤、米国での驚き、そしてユニバーサルジムの設立へ
官野一彦のIFWE日記:第5回 不貞腐れていた時期、気付き、そして恩送り
官野一彦のIFWE日記:第4回 シドニー以前と以後 挑戦と成長のサイクルを信じる
官野一彦のIFWE日記:第3回 五輪金メダル獲得に向けて・・・コミュニティと一緒に歩んだオリンピックロード