2024年のパラリンピックが終わり、新たなシーズンがスタートしました。私は2月にタイで開催されたアジア選手権に出場し、タイムトライアル・ロードレースともに優勝。長時間の移動や厳しい暑さといった課題を乗り越え、新たな目標に向けた第一歩を踏み出しました。次なる挑戦は、5月のワールドカップと8月の世界選手権。さらなる成長を目指し、挑戦を続けていきます。
ダッソー・システムズでは、社員に対して「IFWE(もし◯◯ができたならば)、世の中をこのように変えられるのではー」という4つの価値基準(コア・バリュー)を掲げています。 お客様の課題解決であれ、社会に関わる取り組みであれ、これらの価値基準をもとに自らに問いかけ、チームを作り、アイデアを形にしていきます。
この「IFWE日記」シリーズでは、パラアスリートとして車いす競技で活躍し、起業家としても活動する当社の社員、官野一彦(かんの・かずひこ)が、どのようにこの4つの価値基準を体現しているかをお伝えしていきます。

新シーズン開幕—アジア選手権での挑戦
こんにちは、官野一彦です。
2024年のパラリンピックが終わり、新たなシーズンが始まりました。私にとっての初戦となったのは、2月3日からタイ・ピッサヌロークで開催されたアジア選手権。この大会は、私のハンドサイクル競技における新たなスタートラインとなる重要なレースでした。バンコクから会場までの5時間以上に及ぶ車いすでの移動は、身体的にも精神的にも大きな負荷がかかる経験でした。また、日中は30℃を超える厳しい暑さの中でのレースとなり、環境への適応も鍵となりました。大会のコースは、湖の周囲に設けられた1周10kmのサイクリングコース。ここで私は、日本代表として初めてJAPANのジャージを身にまとい、改めて「ここから新たな挑戦が始まる」という気持ちを強くしました。

結果と今後の課題
今大会では、タイムトライアルとロードレースの2種目に出場しました。目標はもちろん、アジアチャンピオンのタイトル獲得。その結果、両種目ともに1位でゴールし、金メダルを手にすることができました。しかし、今回のレースでは新たな課題も浮き彫りになりました。特に、暑さや長距離移動による影響、レース中のペース配分など、さらなる改善の余地があります。この経験を糧に、次の目標に向けて準備を進めていきます。5月にはベルギーとイタリアでのワールドカップ、8月には世界選手権が控えています。この挑戦の中で、常に「IFWE」の精神を忘れず、自分自身の限界を押し広げながら成長していきたいと思います。
引き続き、応援よろしくお願いします!

<パラサイクリングとは>
パラサイクリングは、1984年のニューヨーク・アイレスベリーパラリンピックにてロードが正式競技となり、1996年のアトランタパラリンピックにてトラックも正式競技となりました。視覚障害と運動機能障害の選手が出場する種目で、障害のクラスに応じて使用する自転車が異なり、通常の2輪自転車、3輪の自転車、手でペダルをこぐハンドサイクル、視覚障害の2人乗りタンデムの4種類があります。
<官野一彦のIFWE日記 バックナンバー>
官野一彦のIFWE日記:第21回 パリの夜を駆け抜ける :モビリティ・ナイト・ライドに参加して
官野一彦のIFWE日記:第19回 すべての人のためのインクルーシブなモビリティの実現に向けて
官野一彦のIFWE日記:第18回 パリパラリンピックの選考結果を受けて
官野一彦のIFWE日記:第16回 ワールドカップ ベルギー大会
官野一彦のIFWE日記:第15回 アメリカでの強化合宿とレース
官野一彦のIFWE日記:第14回 オーストラリアでのパラサイクリング ワールドカップ
官野一彦のIFWE日記:第12回 国立障害者リハビリテーションセンター研究所との取組み
官野一彦のIFWE日記:第11回 アラバマ州での遠征を終えて ~コミュニティの力が1つになれば手を取り合ってゴールを目指せる~
官野一彦のIFWE日記:第10回 ヨーロッパ遠征~学ぼうとする情熱が創造性を高め未来への懸け橋となる~
官野一彦のIFWE日記:第9回 周りに感謝し、手を取り合って前に進む
官野一彦のIFWE日記:第8回 濃霧で視界が悪い中での挑戦 | 米国テキサス州遠征での学び
官野一彦のIFWE日記:第6回 トレーニング場所を巡る葛藤、米国での驚き、そしてユニバーサルジムの設立へ
官野一彦のIFWE日記:第5回 不貞腐れていた時期、気付き、そして恩送り
官野一彦のIFWE日記:第4回 シドニー以前と以後 挑戦と成長のサイクルを信じる
官野一彦のIFWE日記:第3回 五輪金メダル獲得に向けて・・・コミュニティと一緒に歩んだオリンピックロード