People ProfilesFebruary 29, 2024

官野一彦のIFWE日記:第15回 アメリカでの強化合宿とレース

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Avatar 官野一彦 (Kazuhiko Kan’no)

ダッソー・システムズでは、社員に対して「IFWE(もし◯◯ができたならば)、世の中をこのように変えられるのではー」という4つの価値基準(コア・バリュー)を掲げています。 お客様の課題解決であれ社会に関わる取り組みであれ、これらの価値基準をもとに自らに問いかけ、チームを作り、アイデアを形にしていきます。 この「IFWE日記」シリーズでは、パラアスリートとして車いす競技で活躍し、起業家としても活動する当社の社員、官野一彦(かんの・かずひこ)が、どのようにこの4つの価値基準を体現しているか、ブログ形式でお伝えしていきます。

こんにちは。官野です。オーストラリアアデレードでのワールドカップが終わり、次は昨年初めて国際大会に出場したアメリカ フロリダ州ゲインズビルで行われるSwamp Classicに出場しました。

レースの前に、退役軍人の障害者サイクリングチームの合宿に参加させてもらえる事になったので、強化合宿という名目で1月25日から2月5日までアメリカに滞在しました。また、私の乗っている自転車の会社がフロリダ州タンパにあるので、合宿前に修理に行き、自転車の調整をしてきました。

合宿ではドイツ人コーチの個人セッションとカウンセリングを受ける機会をいただけたので参加しました。トレーニングをしながら血液を採り、その血液データを元に今の体の状態と今後の改善のためのトレーニングについて教えてくれました。素晴らしい時間でとても勉強になったことで今後のトレーニングやレースの参考になりました。

合宿は週末のレースに合わせた体調管理ではなく、個人の課題に合わせたトレーニングで、コーチがレースのことは全く考えていないと言う通り、とにかく午前午後の2部練習でたくさん走りました。いつもは体の疲労を作る追い込みトレーニングをしていましたが、データに基づいたトレーニング、走り方を教えてもらってから効率良く走れるようになり、疲労感が溜まりづらく長く漕いでられるようになり勉強になりました。とは言え、レース前で体がうまく動かない位疲れていて、次の日からのレースが不安な状態で合宿を終えました。

Swamp Classicのレースは自転車を始めてから最初に出場した海外レースで、とても思い入れがあります。全てが初めてで、右も左もわからず緊張していたことを思い出します。昨年は土曜日の42㎞のロードレースと、日曜日の1.5㎞の短いコースを35分間の間にどれだけ回れるかのクリテウムにエントリーしましたが、今年は体力もついたので、昨年出なかった土曜日午後の15㎞タイムトライアルもエントリーしました。ワールドカップ後ということもあり、アメリカ代表選手は少なく残念なところもありましたが、あくまでも昨年の自分との比較がメインでした。

ロードレースは同じクラスの選手が2人しかいなかったですが、そのうち一人は昨年5月のワールドカップで、ラスト5㎞で離されて負けた選手だったので意識はしていました。結果は、一位でゴールし、昨年のタイムより19分も縮められました。タイムも世界ランキング4位の選手が前回出したタイムと1分差程度まで縮められた事が非常に嬉しかったです。

午後のタイムトライアルは直線往復で完全にスピードコースで、Uターン地点で曲がり切れずコースアウトしてしまい大きくタイムロスして記録は良くありませんでした。こちらは大きく課題を残す形になってしまいました。

日曜は雨の為選手があまり会場に来ず、私も体調や転倒の可能性を配慮して棄権しました。残念でしたが正直言って身体は本当に辛く、普段の生活にも支障が出るくらい疲弊していたので、プラスに捉えて休ませてもらいました。

2月、3月は海外の予定はないので、課題を克服する為の練習をしっかりして、5月のワールドカップのベルギーとイタリアの2戦で結果を出してパリパラリンピックに出場出来ればと思います。本当に厳しい戦いです。出場出来るか分かりませんが、結果を見過ぎて不安や緊張を招くより、自分に出来る事に集中して毎日を過ごせればと思います。いつも応援ありがとうございます。とても力になっています。

ダッソー・システムズ のロゴを付けてレースに出られる事に感謝と誇りを持っています。引き続き宜しくお願いします。

パラサイクリングとは

パラサイクリングは、1984年のニューヨーク・アイレスベリーパラリンピックにてロードが正式競技となり、1996年のアトランタパラリンピックにてトラックも正式競技となりました。視覚障害と運動機能障害の選手が出場する種目で、障害のクラスに応じて使用する自転車が異なり、通常の2輪自転車、3輪の自転車、手でペダルをこぐハンドサイクル、視覚障害の2人乗りタンデムの4種類があります。

<官野一彦のIFWE日記 バックナンバー>

官野一彦のIFWE日記:第14回 オーストラリアでのパラサイクリング ワールドカップ

官野一彦のIFWE日記:第13回 フランス、スペイン遠征

官野一彦のIFWE日記:第12回 国立障害者リハビリテーションセンター研究所との取組み

官野一彦のIFWE日記:第11回 アラバマ州での遠征を終えて ~コミュニティの力が1つになれば手を取り合ってゴールを目指せる~

官野一彦のIFWE日記:第10回 ヨーロッパ遠征~学ぼうとする情熱が創造性を高め未来への懸け橋となる~

官野一彦のIFWE日記:第9回 周りに感謝し、手を取り合って前に進む

官野一彦のIFWE日記:第8回 濃霧で視界が悪い中での挑戦 | 米国テキサス州遠征での学び

官野一彦のIFWE日記:第7回 米国フロリダ州遠征での学び

官野一彦のIFWE日記:第6回 トレーニング場所を巡る葛藤、米国での驚き、そしてユニバーサルジムの設立へ

官野一彦のIFWE日記:第5回 不貞腐れていた時期、気付き、そして恩送り

官野一彦のIFWE日記:第4回 シドニー以前と以後  挑戦と成長のサイクルを信じる

官野一彦のIFWE日記:第3回 五輪金メダル獲得に向けて・・・コミュニティと一緒に歩んだオリンピックロード

官野一彦のIFWE日記:第2回 海難事故、代表選考からの落選・・・困難を乗り越えてパラ五輪メダルで得たもの

官野一彦のIFWE日記:第1回 ”四足”のわらじでパラアスリートを支援 パラ五輪メダリスト・起業家 官野一彦

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