この記事は3DEXPERIENCEプラットフォーム上のシミュレーションと、3DEXPERIENCEプラットフォーム上にあるロール紹介のシリーズのひとつです。今回はFluid Dynamics Engineerロールに焦点を当て、普段から熱流体シミュレーションを行うエンジニアの方に、設計変更をして革新的な設計コンセプトを探求いただくのにお役立ていただければ幸いです。(英文はこちら)
概要
Fluid Dynamics Engineer (FMK)は設計者や設計エンジニアが熱流体性能を検証するため内部/外部流や熱伝達問題などを解く際に使用いただけます。CADと連携したCFDアプローチにより、Fluid Dynamics Engineerは最適な流量分布、効率的な熱管理、最小限の圧力損失などに基づき製品の性能改善をしながら100以上の設計案を迅速に検討することが可能です。流体業界で最も一般的な手法となる有限体積法ベースの数値流体力学 (CFD) 技術を活用し、設計者が3DEXPERIENCEプラットフォームの統合コラボレーション環境上でエンドツーエンドの製品設計を効率的に実行できるようCAD+CFD+PLMが統合し、説明付き設定パネルが付いています。
Fluid Dynamics Engineerはシミュレーションデータサイエンス技術を活用してすべてのシミュレーション、モデル、結果データが紐づき、追跡、更新、再利用、分析ができ、関係するユーザが簡単に利用できます。
Fluid Dynamics Engineer (FMK) には最大8コアで1つのシミュレーションジョブを繰返し実行できる埋込み型ライセンスが付いています。関連するロールでの利用に限定し、ロールが付与されているユーザあるいはコンカレントライセンスモデルに基づきご利用いただけます。
以下のロールと併せてご利用いただけます:
- Simulation Foundation (SEI) は、シミュレーション手法が備わったコーポレートライブラリにアクセスする全てのユーザにアプリケーションとサービスを提供し、全てのシミュレーションを共通の利用箇所から見つけてモニターする事ができます。詳細はSimulation FoundationまたはMultidisciplinary Optimization Engineer BFSのドキュメントをご確認ください。
Multidisciplinary Optimization Engineer (MDO) は3DEXPERIENCEプラットフォーム上のロールで、 Fluid Dynamics Engineerがアプリケーションをシームレスに切替え利用できます:ワークフロープロセスにおいて適切なツールを適切なタイミングで適用することができるため、設計とシミュレーションのプロセスにおいてより高い柔軟性とコラボレーションが可能になり、形状変更を自動更新し、同じプラットフォーム上で解析者がすぐに最新の結果を得ることができます。
Fluid Dynamics Engineer (FMK) とMultidisciplinary Optimization Engineer (MDO)を組合せて活用する事で、再利用・展開可能なシミュレーションプロセスを作成し、シミュレーションを製品開発工程の一部として組込むことを可能にします。
Fluid Dynamics Engineerには、CFDのワークフロープロセスを把握するための2つの主要アプリケーションがあります: Fluid Model CreationとFluid Scenario Creationです。
- Fluid Model Creationは流体領域を自動抽出して境界層を正確に捉えた流体解析用のメッシュを簡単に作成でき、マニュアル作業工数を低減します。
- Fluid Scenario Creationでは物理/境界条件といった解析条件を定義します。
搭載機能
- オートメッシャー
- 定常/非定常
- 層流/乱流
- 圧縮/非圧縮
- 亜音速、遷音速、超音速流れ
- ニュートン/非ニュートン流
- 多成分流体
- 自由表面 (VOF)
- 共役熱伝達 (CHT)
- 輻射 (S2S、日射)
- 人体熱快適性モデル
- ジュール熱、液膜モデル (デミスト、デフロスト)
- ファンモデル
- 多孔質媒体 (ポーラスメディア)
- マルチフレーム (MRF)
ベネフィット
- CAE専任者のようなシミュレーション知識や経験が無い方、設計CAEにも対応
- 項目毎に説明書きが付いた設定パネルで不慣れな方でもCFD解析設定
- 流れ場を最適化し圧力損失と乱流渦を低減した設計改善
- 複雑なCFD解析のワークフローを軽減する工夫された設定
- 壁面近傍における境界層や乱流流れの正確な結果を予測
- 定常/非定常解析の計算時間短縮
ハイライト
- シミュレーションと設計を同時に行うCADとCFDが連携したエンドツーエンドのワークフロー
- ユーザをアシストするパネルで解析設定の複雑さを軽減
- 自動選択の乱流モデルを適用し定常/非定常の熱流体解析を実施(手動選択も可)
- 順番に何をすれば良いかをガイドする説明付きパネルを含む、直感的で使いやすいインターフェース
- 初期段階の設計検討をより速く実行するのに有効なトレードオフ性能
- 結果の可視化と自動レポート作成
- 埋込みライセンスを活用した8コアでの解析実行の他、3DEXPERIENCEクラウドの計算リソースを活用した解析実行
- KPIや製品要件の検証、トレードオフ実行にシミュレーションを活用
- シミュレーションの種類に応じてあらかじめ定義されたルールを選択してシミュレーション効率、ロバスト性、精度を向上
- 業界標準のRANS (レイノルズ平均ナビエ・ストークス方程式) ベースの有限体積ソルバーによる定常/非定常シミュレーション
- 自動ヘキサメッシャーによる高度なボディフィットメッシング機能により複雑形状における流れを正確に再現
- モデル設定からポスト処理までをシームレスに作業する設定パネル
- 収束誤差を予測する特許取得済みの判定技術で無駄な繰返し計算を低減し、早い収束を実現
- マルチフィジックス対応:流体構造連成 (FSI) や共役熱伝達 (CHT) により複数ドメインを含む複雑な流体シミュレーションのモデリング
- プリポスト、ソルバー実行の統合環境
- 解析モデル設定機能を活用した統合環境内での形状編集
- DOEによる再利用可能なシミュレーションプロセスを設定し、包括的な結果分析機能で複数デザインを初期段階で検討
What’s New
Fluid Dynamics Engineerロールは次数低減モデルを使用し電子機器の冷却、小型ヒートシンク、プリント基板などの電子機器冷却部品の影響をモデル化できるようになり、ターンアラウンドタイムの短縮をはかる事ができます (22x GA)。
Plastic Injection Engineerの紹介もお見逃しなく!
SIMULIA は Abaqus, Isight、 fe-safe、 Tosca、 SIMPACK、 CST Studio Suite、 XFlow、 PowerFLOW などのシミュレーションプロダクトを提供しています。SIMULIA Community ではソフトウェアの最新情報をご確認いただけます。