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サステナビリティApril 12, 2021

【SDGsとデジタル化の掛け算】3: ダッソー・システムズの理念・ビジョン

今回は当社の経営理念・ビジョンを軸として3つポイントを紹介していきます
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Avatar 立田 新 (Arata Tatsuta)

ダッソー・システムズでサプライチェーン・生産技術・生産管理・製造実行領域(DELMIA製品)でコンサルタントをしている立田です。

このシリーズでは持続可能な世界創り(SDGs)を見据えた社会の変化やそれを支える当社の理念経営、ビジョン、テクノロジー、サービスなどについてできるだけ分かりやすく語っていきます。

前回、「当社の経営理念・ビジョンは最適化社会を念頭に置いたもの」という話をしました。今回は当社の経営理念・ビジョンを軸として3つポイントを紹介していきます。

最初に本稿における経営理念やビジョンの定義をしておきたいと思います。

経営理念は企業にとっての存在意義、あるいは何のために事業を行うか(Why)と言えます。英語ではpurposeやmissionなどと呼ばれ、数十年先を見据えて定める存在する理由と言えます。電気自動車の会社として知られるTeslaを例にした場合、理念(mission)は「世界を持続可能なエネルギーへ(accelerate the world’s transition to sustainable energy)」(*1, *2)です。当社では経営理念をパーパスと呼んでいます。

ビジョン(vision)は企業にとっての将来像(What)と言えます。数年から十数年の長期スパンで自社がどうあるべきか、その目指す姿と言えます。Teslaを例にした場合、今は電気自動車を販売しているイメージが強いですが限りなく拡張可能なクリーンエネルギーを発電する・蓄電する製品をも製造する会社」(*2)というビジョンの途中段階と解釈できるかもしれません。最終的なビジョンとしては「世界の化石燃料への依存に終止符を打ち、ゼロエミッション社会への移行を加速」(*2)を掲げられているのではないか、と解釈しています。

最後に経営戦略(How)です。英語ではstrategyと呼ばれ、数年単位で企業の道筋を示したものと言えます。Teslaを例にした場合、まず「限りなく拡張可能なクリーンエネルギーを発蓄電する製品をも製造する会社」になるのであれば、電気自動車(もしくは電気自動車の蓄電池)以外にも選択肢はあったはずです。いくつもの道筋(選択肢)の中で検討された結果、Teslaは電気自動車を使って、まずは蓄電池をより安価にかつ大量に生産する道筋を選んだ、と解釈しています。

さて、ここで当社のパーパス(purpose)について紹介しておきたいと思います。当社のパーパスは「We provide business and people with 3DEXPERIENCE universes to imagine sustainable innovations capable of harmonizing product, nature and life.」(*3)です。意訳すると「当社はヒト・モノ・自然環境をバーチャル化した世界を提供することで持続可能な発展を手伝います」です。

当社ではこれをパーパス(purpose)と呼んでいますが、上述した経営理念とビジョンの定義に照らし合わせると、パーパスの中にビジョン(将来像)としての要素も含まれていると言えます。この経営理念を根幹においた経営を「理念経営」と言います。英語では「purpose-driven(パーパス・ドリブン)」と言い、当社自身も「a purpose-driven company(パーパス・ドリブン・カンパニー、パーパスありきの会社)」(*4)であると標榜しています。

当社の経営理念について意訳だけでは分かりにくいので少し解説したいと思います。

最適化社会を実現していくということは社会全体を見渡して全体最適を実現していくということです。全体最適のためには物事を単体として捉えるのではなく、全体を俯瞰して、全体を構成する要素とその相関関係、連動の仕組み(システム)として捉える必要があります。この全体俯瞰・システム把握を実行するには物事を構成する要素を表現し(モデリング)、要素間の連動性を明確にして(システムズエンジニアリング)、状況によって異なる最適解(シミュレーションや最適化)を導き出すことが必要です。

当社の経営理念・ビジョンと連動させると「ヒト・モノ・自然環境(life, product and nature)」は全体を構成する要素、「3DEXPERIENCEユニバース(3DEXPERIENCE universes)」はヒト・モノ・自然環境とその要素間の連動性を表現し最適解を導き出せるバーチャル化した世界、「持続可能な発展(to imagine sustainable innovations)」はこの環境を使うことによって全体最適を考慮したより持続可能性の高いモノ・サービス・コトなどが創発・実現していく状態と言えます。

つぎに、SDGsとの関係について紹介していきます。当社の提唱する「3DEXPERIENCEユニバース(3DEXPERIENCE universes)」を介して、既存のモノ・サービス・コトを改善したり、創発することにより、8つのSDGsに大きく貢献したりできます。

具体的にはSDG3(すべての人に健康と福祉を)、SDG4(質の高い教育をみんなに)、SDG7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDG8(働きがいも経済成長も)、SDG9(産業と経済革新の基盤をつくろう)、SDG11(住み続けられるまちづくりを)、SDG15(陸の豊かさを守ろう)、SDG17(パートナーシップで目標を達成しよう)です。SDG11を例に取りたいと思います。

SDG11(住み続けられるまちづくりを)は「人間の住む場所を包摂的で安全で回復力があり持続可能にする(Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable)」です。当社のシンガポール政府との取り組み(バーチャル・シンガポール)ではシンガポールの都市全体のバーチャルモデルを構築し、防災や市民生活の向上をはかる取り組みでSDG11の一例と言えます。

最後に経営理念・ビジョンを実現するためのテクノロジー群に触れたいと思います。

当社が経営理念・ビジョンを実現するために展開しているのが、3DEXPERIENCEプラットフォームとそこに繋がるツール(brand applications, Roles)やサービス群です。また当社はプラットフォームのさらなる拡充に向けてテクノロジーを開発・買収しています。

例えば「モノ(製品)」のモデリングにはCATIAやSOLIDWORKSといったブランドのツールが使えますが、「自然環境」つまり土地開発や都市のモデリングを行うためにはGEOVIAというブランドがあります。要素間の連動性を定義する(システムズエンジニアリング)ためには2017年に米No Magic社を買収しCATIAに統合しました。また、最適解を導き出すという視点では2014年に蘭Quintiq社を買収しDELMIAに統合しています。

次回は当社の理念・ビジョンを実現するテクノロジー概要について紹介していきたいと思います。


(参考・備考)

*1:About Tesla
https://www.tesla.com/about

*2:企業情報
https://www.tesla.com/jp/about

*3:私たちを動かすもの(What drives us)
https://www.3ds.com/ja/about-3ds/what-drives-us

*4:私たちは3DEXPERIENCE カンパニーです(We are the 3DEXPERIENCE Company)
https://www.3ds.com/ja/about-3ds/

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