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サステナビリティJune 23, 2021

【SDGsとデジタル化の掛け算】6: 社会価値と経済価値で当社の活動を分類してみる

今回は当社の活動を、社会価値と経済価値の軸を使い4象限に分類して紹介します。
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Avatar 立田 新 (Arata Tatsuta)

ダッソー・システムズでサプライチェーン・生産技術・生産管理・製造実行領域(DELMIA製品)でコンサルタントをしている立田です。

このシリーズでは持続可能な世界創り(SDGs)を見据えた社会の変化やそれを支える当社の理念経営、ビジョン・テクノロジー、サービスなどについてできるだけ分かりやすく語っていきます。

今回は当社の活動を、社会価値と経済価値の軸を使い4象限に分類して紹介します。なおこの分類はコンサルタントとして自分なりに自社を見直して整理したものであり、ダッソー・システムズの会社としての見解ではないことを予めご了解ください。

©Arata Tatsuta

当社の活動を紹介する前にこの軸と4象限について説明します。

©Arata Tatsuta

横軸である経済価値は営利性の高さを表しています。企業の投資に対して利益が大きい(経済価値が大きい)ほど右側、利益が小さい(経済価値が相対的に小さい、場合によってはマイナス)ほど左側になります。

縦軸である社会価値は社会課題の解決度合いを表しています。ここでいう社会課題はSDGsの裏側にある課題(貧困や飢餓、健康・福祉、教育、ジェンダー、水とトイレ、エネルギー、働きがい、産業・技術革新、人や国の不平等、まちづくり、つくる責任・つかう責任、気候変動、海の豊かさ、陸の豊かさ、平和と公正)を意味しています。社会課題とのひも付きの強さが強いほど上側(社会価値が大きい)、小さいほど下側(社会価値が相対的に小さい)になります。

また、ガバナンスやコンプライアンスなど社会課題とのひも付きが強くとも法令・規制遵守の扱いになる活動は企業活動の前提条件と言うことができ、社会価値が相対的に小さいと分類しています。もちろん活動によっては単純に大小と分けることが難しい場合もあります。例えば、当社の本業であるソフトウェア開発・販売・導入(またそれを通じた顧客の改革・改善支援)は顧客の利用目的や当社の捉え方によっては社会価値が大きい場合と相対的に小さい場合もあります。

今回は経済価値と社会価値の2つの視点から当社の活動を4つピックアップして紹介します。

1つ目は当社の本業です。ここでは当社の本業をソフトウェア開発・販売・導入支援(またそれを通じた顧客の改革・改善支援)と定義します。

2つ目はLa Fondation Dassault Systèmesです。La Fondationは教育、研究、文化遺産の分野において当社が革新的なプロジェクトを支援する活動です。

3つ目は3DEXPERIENCE Labです。オープンイノベーション型ラボとして起業家支援やイノベーション創出を支援する活動です。

4つ目は企業の社会的責任に関連した活動です。日本でもCSR(Corporate Social Responsibility)として親しまれています。当社の社会的責任(*1)には適切な児童就労、強制的・奉仕的・奴隷的な就労禁止、結社の自由と団体交渉の権利、差別禁止、適切な労働条件、適切な報酬補償、汚職禁止、環境問題対応、適切な個人情報の取り扱いなどを定めています。

ここからそれぞれの活動を4象限で分類します。

©Arata Tatsuta

当社の本業はA(経済価値も社会価値も大きい)とB(経済価値は大きいが社会価値は相対的に小さい)に分類することができます。当社はソフトウェア開発・販売・導入を通じて顧客企業・組織の業務改革・改善を行っている訳ですが顧客の利用目的は多岐にわたります。持続可能な移動手段の実現のためであれば社会課題とのひも付きが強くA、業務の効率化であれば社会課題とのひも付きが強いとは言えずBと言えるかもしれません。

Aの例を見てみましょう。お客様によっては当社のソフトウェアの利用目的をSDGsと関連づけられています。

下記のお客様(*2)はあくまでも抜粋ですが当社のソフトウェアを使って業務改革・改善することで社会課題の解決(SDGs)に取り組まれています。

La Fondationやそれに類する活動はC(社会価値は大きいが経済価値は相対的に小さい)に分類することができます。学術・研究・文化遺産という社会課題の解決と強く連動した分野である一方で当社にとっては営利活動というよりも支援活動と言えるかもしれません。

3DEXPERIENCE LabはAとCの両方に分類することができます。Aの例としてXtreeE社があります。XtreeE社は当初はスタートアップとして3DEXPERIENCE Labの支援を受けていました(Cの位置)。3Dプリントで建造物を作る技術が注目されて事業を拡大し、やがてコンクリート大手 La Forgeグループに迎えられます。今日では日本企業と提携するまでに成長しています(Aの位置に移動)。またCの例としてCOVID-19関連の活動があります。昨年はLabのメンバーが中心となり世界のエンジニアに声をかけた結果、インドでのスマート人工呼吸器の開発支援、米国におけるフェイスシールドのデザイン支援、フランスのSaint-Francois病院における気流シミュレーションなどを実現させました(*3)。

社会的責任はD(社会価値も経済価値も相対的に小さい)に分類することができます。社会的責任に関連した活動は企業が営利活動を行う上で法令・規制遵守面もあり、企業にとっては必須の基礎的な活動と言えます。

今後、企業の活動はSDGsを目指した方向、つまり社会課題を解決する方向にシフトしていくことになります。これは本業をB(経済価値は大きいが社会価値は相対的に小さい)からA(経済価値も社会価値も大きい)に完全にまたは部分的にシフトしていくことを意味しています。

©Arata Tatsuta

次回は今後の世の中の動きに対して企業に必要とされる組織能力について触れていきます。

(参考・備考)

*1:社会的責任に関する3DSの企業理念

https://www.3ds.com/fileadmin/COMPANY/Ethics-and-compliance/Corporate-Principles-of-Social-Responsibility-JP.pdf

*2:Our Purpose: Sustainable Innovation – ESG Presentation

https://investor.3ds.com/static-files/990e8684-aa86-4477-9238-e27fa95eeb2c

*3:2020 Annual Report (Corporate Report)

https://investor.3ds.com/static-files/7f92f19a-c221-4f87-a305-0998dfe63dd1


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