患者情報と臨床試験データを組み合わせることで新しい治療法を発見し、そのメリットを享受できる患者を正確に特定できたらどんなに良いでしょうか。ニューヨークを拠点とし、今やダッソー・システムズで3番目に大きいブランドへと成長したMEDIDATA(メディデータ)はそれを可能にするため、臨床試験を加速させ、リスクを低減し、最新のテクノロジーを利用して誰もがプレシジョン メディシン(精密医療)の恩恵を受けられるようにするサービスを提供しています。
MEDIDATAの共同創設者であり共同CEOのタレク・シェリフは次のように述べます。「医薬品の開発プロセスにおける意思決定を改善できれば、開発の成果も向上し、人々の暮らしを改善できます」
MEDIDATAでは、2万件近い臨床試験や500万人を超える患者をはじめ、多くの情報源から集めた匿名化されたデータによる「デジタル ファブリック」(データ群、サービス、テクノジーで構成される単一環境の一種)を構築しています。さらに、人工知能(AI)などによる高度なアナリティクスを適用し、パターンや知見を見出して予測モデルを開発します。MEDIDATAがサポートする臨床試験はすべてデジタル化されクラウド上で行われるため、当初の試験条件に照らしてデータを再利用し、分析することができます。
このプロセスはすでに有意義な結果をもたらしています。診断が難しく命にかかわる稀な疾患であるキャッスルマン病は格好の例です。MEDIDATAの共同創設者で共同CEOのグレン・デフリースは次のように話します。「私たちはさまざまな研究に参加した患者の臨床試験データと分子データを使用しました。特定の薬に反応を示す患者を見分けるバイオマーカーを特定することで、その薬の有効性を19%から65%まで上げることができました。将来的に患者として誰もがこうした精密医療の恩恵を受けたいと望んでいます」
MEDIDATAの臨床試験プラットフォームを、ダッソー・システムズのビジネスを革新する3DEXPERIENCEプラットフォームに統合することで、医薬品・医療機器メーカーやバイオテクノロジー企業の研究、開発、製造、臨床試験、製品化の連携が円滑になります。3DEXPERIENCEプラットフォームを用いることで科学的に正確な人体の3Dのバーチャルツインを作成し、効果や安全性が証明されていない薬を用いた人や動物での臨床試験を行うことなく、比較的わずかな時間で対象を定めた個別化医療の研究と実践を支援することもできます。
デフリースは次のように述べます。「私たちはライフサイエンス業界に向けて、科学とビジネスのための 次世代プラットフォームを提供します。MEDIDATAの包括的な臨床開発ソリューションと3DEXPERIENCEプラットフォームを統合することで得られる効果には大きな期待が寄せられています。初期の研究や創薬から製品化、製造に至るまでの医薬品や医療機器の開発プロセス全体を今までにない方法で加速させます」
高度なデータ、コラボレーション、シミュレーション機能により、開発プロセスを通じて医薬品の評価に使用したモデルを市販後に得られた使用データをもとにさらに強化することができるとデフリースは話します。これにより、改善と創薬のサイクルが生まれます。
デフリースは続けます。「これは、新しい治療法の開発、管理、発見を促す触媒になるでしょう。患者はより良い医療を受けられるようになり、治療法の研究開発が質・量ともに向上し、バリューベース ヘルスケアの考え方が浸透するなか医薬品の償還率向上も期待できます」
2019年10 月プレスリリース 「ダッソー・システムズがメディデータの買収を完了、 新たに医療の領域に向けて バーチャル ツイン エクスペリエンスを切り拓く」