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都市・公共September 13, 2021

スマートシティのその先へ:ダッソー・システムズが目指す「サステナブル・シティ」とは?(後編)

当社が取り組むサステナブル・シティについて国内外の事例を交えご紹介します。
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前編に続き、ダッソー・システムズ日本法人の建設・都市・地域開発 グローバル・マーケティング・ディレクターである森脇 明夫がダッソー・システムズが取り組む「サステナブル・シティ」についてご紹介します。


ダッソー・システムズのサステナブル・シティの取り組みに関して、海外ではどのような事例がありますか。

ダッソー・システムズでは、これまで海外のサステナブル・シティ開発にも多く携わってきましたが、その中でも特にフランスとシンガポールでの事例が大きな転換点となりました。

フランスのレンヌ市は、市町村合併により拡大してきた都市で、合併前の行政、つまり縦割りの意識が残っていた部分もあり、情報共有が煩雑になっていました。また、都市の急激な発展にともない、建築物、公共施設網、交通機関、社会インフラなどの再開発・整備計画が複雑化し、関係者との調整が困難な状況になっていました。これらの問題を解決するために、当社のプラットフォームとバーチャルツインを活用することで、フランス初の試みとして都市全体を3次元モデル化して計画・実行できる仮想都市「バーチャル・レンヌ」を開発しました。これにより、俯瞰的な都市計画から主要道路の騒音測定や電気自動車用充電スタンド設置場所の検討などの細部にわたる検証が可能になりました。サステイナブルな住居環境や自然環境を見越してバーチャル・レンヌ上での計画立案・議論・解決ができるようになりました。

シンガポールでは、政府主導の「バーチャル・シンガポール」というリサーチプロジェクトが立ち上がり、シンガポールの国土を丸ごと3次元デジタル情報モデルとして開発しました。同プロジェクトでは、緊急時の避難から市民の健康管理施策に至る、あらゆる計画の策定に3次元モデルを活用しています。例えば、シンガポールは熱帯地域に属しており、いかに気温の上昇を抑制するかという課題があります。そこで、当社のソリューションを使うことで、ビルの建設前に風の流れを分析予測し、その後の都市計画の実行に向けた判断材料として役立てています。その他にもエネルギーの年間消費量の変化や、学生の登下校ルートをシミュレーションし将来の道路づくりに役立つ情報を得るなど、様々なシナリオを予測分析して、より良い意思決定を導くために活用されています。

日本ではどのような取り組みを支援していますか。また、海外での取り組みと比較した際に、国内事例にはどのような特徴がありますか。

日本でも既にサステナブル・シティに関して複数の取り組みを支援しています。2019年に大成建設株式会社が、国内で初めてゼネコンとして都市をどのように活用するかという枠組みの下、銀座エリアの資産の有効活用やエリアの活性化を目的に銀座の都市モデルを作成しました。銀座エリアのバーチャルツインを作成し、地域の事業者・利用者の利便性に対する新しい価値創造を検討しています。

また、直近では、国土交通省スマートシティモデル事業の一環である「スマートけいはんなプロジェクト」を支援しました。同プロジェクトでは、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)を中心に、ダッソー・システムズが提供する「Inclusive Urban Future」でバーチャルツインモデルを構築し、都市計画に関わる情報を3DEXPERIENCEプラットフォーム上に集約しています(プレスリリース)。これにより、けいはんな学研都市に関する様々な施策、事業の進捗状況や稼働状況を一元的に表示し、各ステークホルダー間で、可視化、分析、協業、そして意思決定をしていくことを目指しています。「スマートけいはんなプロジェクト」は、国土交通省スマートシティモデル事業として、ダッソー・システムズが参加した国内初の事例となりました。

けいはんな学研都市のバーチャルツインモデルをInclusive Urban Futureで表示している画面

海外事例と比較して、国内の事例はいずれも「都市プロジェクトを最適化するための発展サイクル」(下図参照)の初期段階にあります。今後は、テクノロジーを活用しながらステークホルダー間の連携を高めるなど、段階的にサイクルを動かしていくことが期待されています。また、日本の都市開発は既に一次開発が終わっている場合が多く、ゼロから開発していくのではなく、既存の都市エリアや設備をどのように再利用していくかという観点が必要になっています。

最後に、サステナブル・シティを打ち出すダッソー・システムズとして、都市・インフラ領域で目指すことを教えてください。

今後、複雑化する都市計画を進め、持続可能な都市の構築を目指すには、バーチャル化で得た情報を一つのプラットフォームで一元管理し、開発者、政府・行政、地域住民、専門家、建築・建設関係者、関連団体など、多くのステークホルダーが情報共有を行い、それぞれの専門的知見から意思決定や合意形成を経て、プロジェクトを進めていくことが最も重要となります。

これらを踏まえて、ダッソー・システムズとしては、導入時に各自治体や地域特有の本質的な問題のヒアリングをして、本来の目標に沿ったバーチャルツインの導入支援をするように心がけています。引き続き、お客様に寄り添いながら、当社が幅広い業界で培ってきた知見と経験を基に、都市計画の実行まで支援していきたいと思います。


ご参考リンク:

ダッソー・システムズの建設・都市・地域開発業界について

建築・建設 | ダッソー・システムズ® (3ds.com)

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