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都市・公共February 9, 2022

持続可能な都市をバーチャルツインで実現する 【COMPASSマガジン】The Dassault Systèmes View

都市・インフラは複雑なシステムであり計画にはバランスが重要です。当社は製造業等での長年の経験を都市、インフラにも応用しています。
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都市とインフラは、人類の持続可能な未来を実現するための要です。

都市部が地表で占める面積は少ないですが、都市部では大量の天然資源が消費され、さまざまな汚染が生み出されています。そしてこれは人口の増加と共に深刻化するでしょう。実際、都市は今も成長を続けています。都市で暮らす人の割合は、現在、世界の半分ほどですが、2050年までには70%に増加すると予測されています。  

人口密度が高まると、都市をサステナブルに築き、機能させ、管理するという難題に直面します。道路や橋梁の老朽化、水不足、人口過密、大気汚染など、都市には相互に関連するさまざまな問題があり、一つに対処すると他が悪化することも珍しくありません。たとえば、住宅の供給量を増やして過密を改善すると、ゴミが増え、エネルギー需要が高まり、温室効果ガスの排出量が増加します。

こうした、それぞれ重要でありながら互いに矛盾する問題をバランスよく解決するには、都市計画や政策の立案者が、都市環境を包括的な視点で捉えて問題の全容を把握し、さまざまな方法を試しながら理想的なバランスの着地点を見出す必要があります。

理想的なバランスを見出し、維持することは、行政と市民が求める生活の質を確保しつつ、これからの世代のために未来を守る上で最も重要なことです。ダッソー・システムズは、これをサポートすることに全力を尽くしています。

ダッソー・システムズの、「3DEXPERIENCEで製品、自然、生活が調和する持続可能なイノベーションを現実の世界にもたらす」というパーパス(事業目的)は、人類への貢献を軸に打ち出されたものです。そして、当社はこのパーパスを貫くべく、2021年に、お客様(世界のさまざまな都市も含む)に対するソリューションの提供と、社内での取り組みという両面から、二酸化炭素排出量削減と気候変動対策にさらなる貢献をすることを表明しました。温暖化という地球規模の問題に対処するには、多くの人が暮らし、環境に大きな影響を及ぼす都市の持続可能性を高めることが欠かせませんが、当社は、そのために必要な独自の能力を有しています。なぜなら、都市は、複数の独立したシステムが連携して一つのシステムのように振る舞うシステム・オブ・システムズ(SoS)であり、我々はこうしたシステム群を包括的にモデリングして分析、把握、運用する能力をコア・ケイパビリティをとしてきたからです。ダッソー・システムズは設立から約40年もの間、航空機や自動車だけでなくデジタルネットワークやサプライチェーンなどで幅広く用いられる複雑なSoSの開発において、製造業がバランスをとった設計を実現できるようサポートしてきました。このような複雑なシステムにも有効な当社の技術や知見は、都市にも役立てることができます。    

そして、複雑な都市開発事業を成功させるには、試行する機能が重要になります。現実の世界で物理的なリソースを割いて実験を行っていては、資源を無駄にし、資金や時間を浪費します。また、不測の事態が発生した場合、特に人口が密集する都市部では大惨事になりかねません。現実の世界で実験を行うデメリットを解消することが、ダッソー・システムズのソフトウェア群がバーチャルな実験を行うための機能を備えている理由です。  

コンピュータ上では、一つの課題に対して数日で何千もの方法を試すことができます。しかも、コンピュータを動かす電力以外に物理的な資源を必要とせず、万が一不測の事態が発生しても、まわりの人を危険に晒すことはありません。ダッソー・システムズのバーチャルツイン・エクスペリエンスは、科学的に正確なコンピュータモデルを構築し、コンピュータ上でバーチャルな実験を行うことができる、優れた機能を持ちます。したがって、都市計画や政策に関わる人々は、特定の都市をデジタルに再現した仮想の環境で、アイデアを実行した場合に生じる影響を正確に把握することができるのです。バーチャルツインは、都市問題につきものの内包する矛盾に対するステークホルダーの理解を助け、ローコスト、ノーリスクで学びを得ることを可能にし、現実的に可能な範囲における最適なソリューションに導きます。      

たとえば、フランス北部のグラン・テスト地域圏は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック初期に大打撃を受けた地域の一つであり、政府と民間の機関が連携して対応に当たりました。この地域のとある病院では、国や地方行政の決定事項が市民に及ぼす影響、効果について、バーチャルツインを活用した検証を行いました。このプロジェクトの担当者と官民の関係者が連携して実験の企画、実行、検証をすることを可能にしたのが3DEXPERIENCEプラットフォームです。デジタルコンテンツとデジタルモデルを構築して検討を行うことで、当局は、画一的で最適化されていない対処法ではなく、市民の具体的なグループ毎に適切な判断をすることができるようになりました。

一方、建築・建設業界では、エネルギー効率を一段と高める建物を設計するためだけでなく、そのような建造物をさらにサステナブルな材料と工法で建設するためにバーチャルツインを活用しようとしています。たとえば、製造業のバーチャルツインの活用技法を建設分野に応用すれば、建設会社は、モジュラー式の住宅、オフィス、店舗などを工場で設計、テスト、最適化し、組み立てて、無駄の削減や現場での建設期間の短縮ができるのです。このようなモジュラー建築は、使用する資材の削減、リサイクル、輸送により生じる二酸化炭素の排出量削減に貢献するだけでなく、配送をまとめて簡単にし、移転や間取りの変更が必要になった場合でも素早く解体することができます。

つまり、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で構築され、分析、最適化、保守を行うことができるバーチャルツインは、建設業界そのものと、持続可能なシステム・オブ・システムズ(SoS)としての都市を築き、発展させる上での建設業界の役割を全面的に変革します。ネットゼロ建築がコミットメントの段階から実践の段階に移行する中、バーチャルツイン・エクスペリエンスが、都市と市民と地球にとってより良い未来を築く鍵を握っているのです。

ダッソー・システムズの、持続可能な都市の実現に向けた行動について、詳しくはこちらをご覧ください

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