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ビジネスサービスJune 6, 2018

金融サービス分野にもPLMソリューション【COMPASSマガジン】

商品開発プロセス全体を追跡・実現するPLMは、金融サービスの分野でも需要が高まっています。
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Avatar ダッソー・システムズ株式会社

競争の激化とともに利鞘は縮小し、規制もますます厳しさを増す中、アセットマネジメント業界はプロダクト・ライフサイクル・マネジメント・ソリューションに注目しています。


プロダクト・ライフサイクル・マネジメント(PLM)は、アセットマネジメント業界では比較的新しい言葉です。商品開発プロセス全体、つまり最初のブレインストーミングから商品開発、リファイン、規制調査、発売に至るまでを追跡・実現するPLMは、金融サービスの分野で需要が高まっています。

ドイツのフランクフルトに拠点を置く世界的な資産運用会社、アリアンツ・グローバル・インベスターズ社で世界中の商品を統括するWilliam Lucken氏によると、PLMはエンジニアリングや製造の分野では一般的ですが、金融サービスの分野では長年にわたって懸案となっている革新的テクノロジーです。

「資産運用会社は優れたポートフォリオ管理を目指してさまざまな高性能ツールを導入しています。しかし、さまざまな商品を扱ってきた私の経験から言うと、ほとんどの資産運用会社はPLMに比肩する高度な機能は使用していません」(Lucken氏)

そして「資産運用会社は今こそ、監査証跡を出力できないスプレッドシートや電子メールなどのありふれたツールよりもさらに上のレベルを目指すべきです」と指摘します。

「我々は疑問を感じることなく30年前のテクノロジーを使用しています。しかし、これもそろそろやめるべきでしょう。技術的には、他の業界や日々の生活ではすでに新しいテクノロジーが使われていて、そうした方法で業務を行えるのですから」(Lucken氏)

競争と背景、変化

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のAbhijit Rawal氏が2017年にロンドン・ビジネス・スクールのコンファレンスで述べているように、アセットマネジメント業界は4つの「R」、すなわち1. リターン(Return)の低迷、2. 収益(Revenue)の減少、3. 規制(Regulation)の強化、4. ロボット(Robot)の台頭によって様変わりしました。

「PLMは、投資家のニーズを確実に満たすことができる商品を提供するための基盤を実現します」JASPAL SAGGER氏
レッグ・メイソン社 国際商品責任者

その結果、資産運用会社は商品開発プロセス全体に新しいテクノロジーを統合する重要性に気付きつつあります。しかしこれは、単に古くなった技術的基盤を新しくすれば済む問題ではなく、競争や不安定化が進む金融業界で消えることなく売れ続ける商品を提供できるようにもしなければいけません。

アリアンツのLucken氏は次のように語ります。「市場が不安定化したり変化したりすると、情報を適切に管理できなければ開発プロセスで判断を誤る可能性があります。PLMプラットフォームがあれば、自社の判断、つまりなぜそのようなデータに基づいてそのような判断を行うのかを適切に記録できるため、商品開発のあらゆる段階でより適切に状況を把握できるはずです」

運用実績の先を見据える

マクロ経済の劇的な変化もまた、顧客のニーズや思惑に影響を及ぼしました。グローバルに展開する資産運用会社、レッグ・メイソン社のメリーランド州ボルティモアの本社で世界中の商品を統括するJaspal Sagger氏は、投資戦略に関して言えば、顧客は相対的な運用実績などのベンチマークだけでなく、その先を見据えていると語ります。

「昔は、資産運用会社は運用実績だけで勝負していました。景気が良ければ資産価値は上昇し、大きな利益が得られます。今は状況が一変し、競争が激化して利鞘は縮小しています。一方で、投資家はリターンにこだわるリスクを昔よりも正確に認識しています。運用実績が重視されることに変わりはありませんが、お客様の具体的なニーズに対応でき、変化する経済状況のみならず購買層や規制に関する課題にも対応できる、そのような最終的な成果を重視する投資戦略に向けて、状況はこれからも変化し続けるでしょう。お客様が必要としているのは、運用実績の先を見据えたパートナーなのです」

Sagger氏によると、こうした数少ない資産運用会社との提携を考えている販売会社(ディストリビューター)が増えています。そのため、PLMプロセスをしっかり導入した資産運用会社は将来成功する確率が非常に高くなります。

「よく考えられていて、他社商品との違いが鮮明で、適正な価格が付けられ、お客様のニーズに具体的に的を絞って商品や銘柄を提供できるようにPLMを導入している場合はなおさらです」(Sagger氏)

長期的なノウハウの蓄積

昔は、商品はPowerPointのプレゼンテーションで受け渡しされ、誰も管理することなく電子メールに保管されていたかもしれません。

しかし、商品開発プロセスをことごとく追跡・記録するPLMにより慎重に取り組めば、時間とコストを大幅に節約でき、優秀な社員の転職によって優れたアイデアが一緒に流出してしまうこともありません。

アリアンツのLucken氏は次のように語ります。「投資のテーマは周期的に繰り返される傾向が強く、10年前には時代遅れと思われていたアイデアが突然復活して再度注目されることもあります。しかし、自分が決めた事やなぜそうしたのかなど、すべての作業内容を記録するツールがなければ、また同じ流れを繰り返すだけになってしまいます」

有効なPLMプロセスがあれば企業は自社が蓄積したノウハウを大いに活用することができ、この点がアセットマネジメント業界でPLMが注目されている大きな理由の一つです。

米国のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)でPLMを統括するTim Burks氏は最近、オンライン・ビジネス・ジャーナルの『Raconteur』で次のように語っています。「エンジニアリング・システムとしての役割を担ってきたPLMが一皮むけて、次第に企業のインフラを構成する重要な機能として認識されるようになっています。そこには企業の重要な資産、すなわち知的財産が保持されています」

PLMがあればアイデアを忘れることがないだけではありません。効率性と一貫性をもって商品を開発すれば、生まれてくるアイデアすべてが自社の全体戦略と調和するはずです。

Lucken氏は次のように語ります。「投資管理の分野で本当に優れた商品開発を実現するために必要なことはただ一つ。お客様にとってその商品を購入するメリットは何なのかを全員が理解することです。もしも全員が完全に理解していないか、あるいは単に脇役なので利用できるデータがないという状態であれば、彼らはその商品でやろうとしていることの全体像を把握することはできません」

「多くの人たちが、毎日会社に行ってただ漫然と仕事をしています。しかし優れたPLMがあれば誰もが、現在どのような作業が行われているのか、そしてなぜそれが行われているのかを理解できるはずです」(Lucken氏)


ダッソー・システムズのPLM銀行・金融市場向けソリューションページもご覧ください。

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