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ScienceMarch 18, 2021

SIMULIA 電気の話 1 – 直流と交流 –

電磁界は見て感じることができない為、どのような所で電磁界解析ソフトの必要性があるかイメージが難しい印象があります。まず、時間的変化のある交流とない直流についてわかりやすく説明したいと思います。
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Avatar 大森 寛康 (Hiroyasu OMORI)

電磁界は、見ることも、感じることもできないため、どのような所で電磁界解析ソフトの必要性があるかイメージが難しい印象があります。そこで、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。

電気と言っても幅が広いのでまずは身近なところでは、電力を供給する「直流」と「交流」がありますね。

直流とは、バッテリーなどに代表されるように変動がない一定の電圧をデバイス(豆電球や電子部品)に供給します。しかし、100[V]を1000[V]に変換したい場合、変換器が複雑・大型化になってしまいます。

また、導体の抵抗成分により熱に変換されてしまい遠くまでの供給には向いていません。

一方、交流は、電圧が時間的に変化しながらデバイス(モーターなど)に供給することができます。時間的に変化する理由は、発電機の原理からきています。コイルの中に磁石を抜き差しするとある方向に電圧が発生します。この抜く方向と差し方向によって、電圧の発生する向きが異なり+(プラス)になったり、ゼロになったり、-(マイナス)になったりします。発電機は、この抜き差しを水力や火力を使って行っています。また、モーターなどは、電気の力を運動の力に変換する発電機と逆の原理になっているので、交流はモーターなどの駆動デバイスを動かすのに向いていると言えます。更に、直流と異なり、容易に電圧の変換が行えるので長距離の供給にも向いています。(同じ電力を供給するのであれば、電圧を上げれば電流が下がるので、抵抗成分による熱の損失を防げます)

電磁界解析を使う領域の代表として、電動自動車に使われるようなモーターがあります。つい最近まで、自動車の電動化で求められる小型化・軽量化をしながらも効率を上げるという要求はモーターに対しては少なく、すでにその設計は確立されているような状況でした。しかし、電動化の流れから生まれた新しい要求により,ここ十数年で急激に電磁界解析や熱・応力・流体解析を合わせた複雑な解析要求が高まっている分野となっています。

モーターに電力を供給するには交流が良いのですが、コンセントを繋げない自動車や飛行機などはバッテリーから電力を供給する必要があります。しかし,バッテリーは直流ですので、これを交流に変換する必要があります。これを、インバーターと呼びます。また、バッテリーへ電力を貯める場合は、逆に交流を直流に変換する必要があります。これを、コンバーターと呼びます。

直流から交流を作り出すことは簡単ですが、美しいサイン波を持ちハイパワーなモーターを動かす高電圧の交流は作ることは難問の一つです。現在では、化合物半導体などを使用して、ハイパワーな綺麗な交流を作る技術がドンドンでてきています。しかし、半導体とバッテリーをそのまま接続するには両者のサイズが大きく異なるため物理的に困難になります。そのため、半導体をちょっと大きなインターポーザーに実装しパッケージ化し、そのインターポーザーをプリント基板(PCB)に実装し、と言うように徐々に大きくし、最終的にケーブルを利用して接続する構造をとります。モーターに接続する場合も同様の工程を取ります。そのため、バッテリーから半導体さらにはモーターに至るまでには、様々な配線が必要となり、これらが最終的にモーターを駆動する綺麗な交流になっているか設計上で確認する必要があります。このような設計現場で電磁界解析が使用されています。

また、直流から交流に変換する際に、不要な交流成分(ノイズ)が発生します。このようなノイズはハーネスや配線を伝播し、回路に流れ込んだり、外部に放射し他の機器へ最悪誤作動という形で影響を与えます。実際に、ノイズの伝搬経路は、一部分は測定可能であるものの全て見る事はできないため、このような箇所でも電磁界解析が必要となります。

我々の身近にあるものは、上記で紹介したような電力を供給する以外に、時間的に変化する電圧や電流も使います。それは、PCや電子回路に使用される信号やアンテナから放射される電磁波です。

これらについて、次回投稿したいと思います。

SIMULIAは電磁界シミュレーションにも対応しています

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