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ManufacturingMay 17, 2023

北九州高専リカレント教育の振り返り(中編):なぜMESではなくMOMなのか?

「MES」について語ると、現れる「MOM」と言う言葉。なぜ2つのソリューション名が製造領域で混在しているのでしょうか?それぞれの違いを理解することが、工場のデジタル化を進める上でのヒントになります。 みなさま、こんにちは。DELMIA Industry Process
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「MES」について語ると、現れる「MOM」と言う言葉。なぜ2つのソリューション名が製造領域で混在しているのでしょうか?それぞれの違いを理解することが、工場のデジタル化を進める上でのヒントになります。

みなさま、こんにちは。DELMIA Industry Process Consultantチームです。前回、「北九州高専リカレント教育の振り返り(前編)」として、「北九州高専のリカレント教育のあらまし」と、「なぜMESが重要なのか?」について解説させていただきました。

今回のブログでは、具体的なカリキュラムの内容をご紹介するとともに、「MOM」について紹介したいと思います。

MOMとは一体何でしょうか?その説明に入る前に、カリキュラムの全体像をお伝えします。

今回のビジネススクールの講義内容は大きく6つのパートで構成されていました。

① イントロダクションおよび工場×デジタルに関わるトレンドの紹介 講義に出てくる用語の説明や近年の製造業抱える課題・トレンドなどの紹介 (前回ブログで紹介した内容は主にこちらです)

② MOM概要

③ MOM詳細

④ IT/OTソリューションとの連携 ERPやPLMを始めとするITソリューションとMES/MOMの連携、近年ニーズが高まっている設備とMES/MOMの連携について

⑤ 事例・導入手法・最新テクノロジー

導入の考え方や手法、クラウドなどの最新テクノロジーとMES/MOMの関係について

⑥ まとめ

今回の講義では、下記の図の通り、MOMとは何か?について多くの時間を使いました。では、なぜ、我々はMESでは無く、「MOM」の理解に時間を使ったのでしょうか?講義の資料も交えて説明いたします。

前回のおさらいですが、日本語では製造実行システムと訳されることが多い「Manufacturing Execution System」の略称である「MES」。MESは、製造を実行するために、着手・完了、製造の履歴情報などを管理する仕組みで、少し前までは、「工程管理システム」と呼ばれることもありました。そのため、必要な機能としては、製造及びそれに付随する品質情報を管理できればその要求は満たすため、単一工程のみが対象となることもありました。

一方、「MOM」は、「Manufacturing Operations Management」の略称です。日本語訳すると「製造オペレーション管理」となり、我々もあまり日本語で呼ぶこともないのですが、英語でOperationsとなっていることが、このMOMの特長となり、その対象は工場全体の業務(オペレーション)です。

こちらはDELMIA Aprisoの例です。

MOMは、製造、品質のみならず、在庫、保全、従業員情報と製造のOperationに付随する、5M(Man、Material、Machine、Method、Measure)の情報を管理します。そのため、製造工程における製造に関わる情報だけではなく、製造のQCDに関わる情報を網羅的に管理することが可能になります。

以下に2つの例を挙げます。

1. 在庫管理の高度化(FIFO、寿命管理、滞留状況の見える化)

MOMは、在庫のハンドリングも管理の対象とするため、工場内での仕掛在庫管理だけでなく、サプライヤーからの入庫、受入検査の結果、また、格納時の番地情報まで、オペレーションに連動して記録を行っていきます。また、製造時のロット・シリアル情報、出荷時の荷姿情報まで記録をすることが可能なため、End to Endでのトレーサビリティ情報を保持することが可能です。また、先入れ先出し(FIFO)の担保、期限管理なども一つの仕組みの中で対応可能なため、単純な見える化だけでなく、ポカヨケをはじめとしたオペレーションの高度化も併せて可能となります。

2.製造/品質情報と連動した型・治工具の管理

MOMは保全も対象範囲としており、例えば、型・切削工具・治具などの製造副資材も製造と連動して管理することが可能です。下記の図のように、型を受入から、セッティング、製造、メンテナンスの実施者や製造した品目などの記録をすることができるため、例えば、「型の寿命が生産技術の想定通りだったのか?」、「型のメンテ担当者によって製造品質に影響が出ていないか?」などの分析も可能となります。

このように工場で行われる製造オペレーションをEnd to Endで管理することができるのがMOMの特長となります。

以上が、我々がMESではなく、MOMを強調して講義を実施させていただいた一部の背景となります。とはいえ、まだまだ世の中にはMOMが浸透していないこともあり、まだまだ「MES」と呼ぶことも多いですが、このような活動を通じて、MOMの考え方が少しでも多くの人に伝わればと思います。

そして、このような説明をさせていただくと、ここ10年の製造業のトレンドである「IoT」とMOMとの関係性についても聞かれます。次回の後編(最終回)では、この「IoT」と「MOM」の話に加えて、具体的な講義の雰囲気や学びについてご紹介させていただきます。

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