新型コロナウイスル感染症は人々、コミュニティ、企業に大変な犠牲を強いています。私たちは何とかこれに対処して経験を積んできたわけですが、より良い未来に向けて、どのような学びが得られたでしょうか。
COO(最高執行責任者)兼 CFO(最高財務責任者)である私は、数字を検証することで何らかの知見を得るようにしています。マイナス面を見ると、パンデミックによる経済的な混乱が世界経済にもたらす損害は、5年間で26兆8000億ドルに及ぶ見通しです。プラス面を見ると、遠隔医療の利用が15日間で10倍に増え、電子商取引はわずか3カ月で10年分の成長を遂げました。なぜでしょうか。
それは、これらのサービスが、今まで「物理的に」現実の世界で得られていたエクスペリエンスをバーチャルなものに置き換えることができるからです。
これらの数字が示すように、混乱は破壊をもたらすと同時に機会を生み出します。そして遠隔医療や電子商取引の例のように、すばやく順応できるアジリティ(敏捷性)を持った組織は、混乱の悪影響を回避しつつチャンスをつかむことができます。そのような敏捷性の鍵は何でしょうか。それはエクスペリエンス(経験、体験)のバーチャル化、つまり3DEXPERIENCEプラットフォームを使った変革を実現することです。
ダッソー・システムズには、お客様がバーチャル化を通してビジネスを変革できるように支援してきた約40年の経験があります。3DEXPERIENCEプラットフォームは、この変革をかつてないレベルで達成します。それによって例えば、廃棄物を最小限あるいはゼロに抑えてリサイクル性が向上するインテリジェントな製品バーチャリゼーション、人々が制約なしに協力しあえるクラウドベースのコラボレーション、ニーズの変化に応じて生産工場の作業現場を再構成するためのバーチャルツイン・エクスペリエンス、混乱を察知して順応するサプライチェーンやロジスティクスの機能などが実現できます。
ところがマッキンゼーの推計によると、毎年20社に1社がサプライチェーンの混乱によって1億ドル以上の損害を受けています。これを回避できるテクノロジーが存在するのに、なぜ企業はリスクを冒しているのでしょうか。
「バーチャルエクスペリエンスはビジネスにアジリティをもたらします。そしてアジリティのあるビジネスは、混乱をうまく乗り越えられるのです」
その理由はたいてい惰性です。仮想化のためには、ビジネスのあらゆる面で投資と戦略的思考が必要になります。多くの企業は多忙な日常業務――そして短期的な成果を求める投資家の期待――に追われ、自社は1億ドルを失う20分の1にはならないと信じて、時間や資金の投入を後回しにしているのです。
もはやそれは通用しません。新型コロナによって、無策でいることの代償はあまりにも大きくなりました。企業であれ政府機関であれ、世界規模の混乱に備えていなかった組織は軒並み、金銭的損失と機会の逸失というダブルパンチに見舞われています。
しかし良い知らせがあります。3DEXPERIENCEプラットフォームを使い、現実と仮想の間で反復作業を行うことによって、組織はどのような混乱にも対処できる準備を整えることができます。さらに3DEXPERIENCEプラットフォームは、日常ベースでビジネスのコストを引き下げ、多種多様な測定指標に関する生産性を引き上げます。そして何より、今まであり得なかった新しいビジネスモデルや機会を思い描き、それを探求する力をもたらします。
スペリエンス、顧客ロイヤルティが改善する可能性が2倍超に、収入、利益、株価が上昇する可能性が3.5倍に高まります。3DEXPERIENCEプラットフォームは、エクスペリエンスをデジタル化するだけでなく仮想化することによって、さらなる成果をもたらします。
このことは数字が物語っています。バーチャルエクスペリエンスはビジネスに敏捷性をもたらします。そして敏捷性のあるビジネスは、混乱をうまく乗り越えられるのです。
パスカル・ダロズ: ダッソー・システムズCOO(最高執行責任者)兼 CFO(最高財務責任者)