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設計・シミュレーションJuly 15, 2019

【デザインとシミュレーションを語る】52 : 計算品質を起点として、設計品質を上げる取り組みへ

  【第7章 計算品質標準化から知識化へ】 計算品質を起点として、設計品質を上げる取り組みへ   前回からだいぶ時間が経ってしまい、このブログはもう終了なのかと思われているかもしれません。申し訳ないです。  
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Avatar 工藤 啓治 (Keiji Kudo)

【第7章 計算品質標準化から知識化へ】 計算品質を起点として、設計品質を上げる取り組みへ

前回からだいぶ時間が経ってしまい、このブログはもう終了なのかと思われているかもしれません。申し訳ないです。

いえいえ、しっかりとコンテンツを用意してはいるのですが、順番や流れを考えているうちにどんどん時間が経ってしまうというのが実情です。まだまだ書くテーマを想定していますので、もっと拍車をかけて記事を量産していきたいと思います。

さて、前回の本ブログで紹介した八千代工業様の発表が、2019年6月21日に弊社主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」にて行われ、講演内容の詳細もすでにMONOistからインターネットで「シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦」と題して配信されています。

また、配布用スライドもここからダウンロードできますので、記事を読みながら見ていただけるとわかりやすいと思います。

まずは、記事と配布資料に目を通されてから、こちらに戻ってください。本ブログと私の果たした役割も言及されています。

“海老原氏はダッソー・システムズの技術コンサルタントである工藤啓治氏が公式ブログに掲載した「デザインとシミュレーションを語る」も紹介。その中で語られているシミュレーション活用のメリットのうち、特に「パラメトリックモデルの自動生成」と「失敗から学べる点」に共感を覚えたという。”ということで、引用のなかに引用されていてややこしいことになっていますが、ここに該当する記載は、以下の第3回目の記事になります。

第三回:シミュレーションは、実験と比べて何がいい?

前回記事で簡単に海老原様と知り合うことになったきっかけについて書きました。出会いの後、本ブログ記事を数日ですべて読破していただき、海老原氏のなかで、“世界レベルのCAE技術の構築と設計への適用”するための構想ができあがり、そのための組織立ち上げとプロジェクト化の支援依頼を受けました。本講演は、現在進行中であるプロジェクトの中間報告のような位置づけになります。最初にお会いしたのが、2016年7月、プロジェクト化支援の相談をお受けしたのが、11月、プロジェクトの初期フェーズ実行が2017年4月から1年間、第二フェーズが次の1年間という非常に早いスピードで実現された成果のまとめとなっています。最初の1年のなかで、講演で語られているような自動化〜最適設計探索のテーマを対象として、参画いただいたプログレス・テクノロジーズのチームの方々の支援で具体的に実践体験を進めていく中で、平行して毎月1回の「設計とシミュレーション講習」を行いました。このブログをお読みいただいている方には馴染みのあるテーマが並んでおります。要は、本ブログで語ってきたテーマを10つに整理して、各2時間の講習にまとめ上げたものです。一番最後は、八千代工業の方々からの発表という形で締めました。

1. パラメータ同定

シミュレーションの精度を上げる方法と、かつ保証するにはどうすればいいのか、様々な問題での扱い方、考え方と活用方法を理解する。

2. パラメータ・スタディ

パラメータ・スタディがなぜ重要なのか、最適設計よりも事前に行う理由と、その多面的な活用メリットを理解する。

3. 最適設計探索

最適設計手法は、条件や設計変数の選定、解空間と計算時間を想定した手法の選び方など、問題設定が大切であることを理解する。

4. 複合領域問題と多目的最適設計

すべての設計問題は本質的に多目的最適問題であり、そのデータ分析により、従来得られなかった重要な設計情報を抽出できることを理解する。

5. 不確定性問題

様々な不確定な情報や現象を統合的に扱えるよう、信頼性やロバスト性に共通する考え方と方法を理解しする。

6. 設計にとってのあるべき像とは

現在進行中でかつ今後10年の世の中の急激な変化に備えて、ものづくり設計という視点での改革はどうあるべきか、1年の中間点で振り返る。

7. 形状最適設計と標準モデル

形状を設計変数として扱うにはそれを、問題に合わせていかに自然に表現するかという問題に帰着できる。表現方法に合わせた最適化問題としての扱いを理解する。

8. 計算品質と設計開発プロセス標準化

シミュレーション結果を保証するしくみと設計が正しい判断をする手順の構築について、体系的にとらえる。

9. 3DEXPERIENCEプラットフォーム ケース・スタディ

シミュレーション分野でダッソー・システムズのプラットフォームが目指している姿を、ケーススタディで紹介する。

10. Simulation Governance

シミュレーション主導設計を会社全体で進め、定着させるために必要な取り組みについてまとめる。

11. 10年後のあるべき像について

全10回のレクチャーの総括として、皆さんが考えるあるべき像を各自の想いで発表していただく。

最終回のあるべき像の発表が実に秀逸で、実に感動的だったことを思い出します。実践テーマの成果がしっかり出ていたので、会社のなかでも自信をもってアピールできる結果になったのだと思います。本プロジェクトをあらためて振り返ってみますと、着々と成果が積み重ねられているのには、十分な理由があることがわかります。

  • ビジョンが明確で会社経営層からの十分な理解と具体的なリソース支援を受けている
  • 強力な実践リーダーが存在しており、組織としてのバックアップがある
  • 実践チームは、適用テーマが明確で、実践する基礎技術があり、モチベーションが高い
  • 初期の段階で、ビジョンと具体的テーマをベースにした中期ロードマップを共同で作成できた
  • 講習の価値と内容を理解したいという意気込みが非常に高く、それを実践テーマに直結させることができた

というようなところでしょうか。こうして振り返りますと、当初のスコープは計算品質から出発したのですが、計算(CAE)をうまく活用しての設計品質という大きなスコープに自然と広がっていった、そういう流れとして見えてきます。継続中のプロジェクトですので、新たな取り組みが今後も検討される予定にて、やるべきことがたくさん控えているのです。具体的な進捗があれば、八千代工業様からまたご発表いただけることを期待しています。海老原様はじめ八千代工業の方々、プログレス・テクノロジーズの方々にあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。

【DASSAULT SYSTEMES 工藤啓治】

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