外反母趾から足底筋膜炎まで、人はさまざまな症状によって歩行に支障をきたし、ときには歩けなくなることもあります。症状から原因を特定し痛みのない状態に戻すことは、決して容易ではありません。ベルギーのスタートアップ企業であるDigital Orthopedicsは、ナレッジベースのデジタル臨床意思決定支援システム(CDSS)を開発し、世界中の医療従事者が迅速かつ容易に患者を診断して治療できるよう支援しています。
医師は、足や足首を損傷した患部のX線やCTスキャンで撮影した画像を、その患者の生活の質、足の機能、痛みのある場所、歩行レベル、筋肉の活性化と靭帯の負荷パターン、関節と軟骨にかかる圧力、組織応力などに関するデータとともに、クラウド上のCDSSシステムにアップロードします。医療従事者はシステ上で、患者の足とその患者に固有の病状を 3D バーチャルモデルとして再構築できます。これにより、患者によって異なる足の各部位の動きを迅速かつ安全に分析して、問題の根本原因を正確に特定することが可能になります。
Digital Orthopaedics の共同創設者であり、CEO 兼 医療ディレクターである Bruno Ferré 氏は、次のように述べています。「バーチャルモデルを歩行や走行させることで、患者の可動能力が向上すること、そして医療行為が失敗につながらないよう確認できます」
2020 年 5 月に CDSS の最初の商用バージョンが利用可能になり、世界中の医療従事者と整形外科の専門家が CDSS にデータをアップロード可能になるので、Digital Orthopedics は今後、病状と最適な治療オプションの包括的なデータベースを構築できるものと見込んでいます。また、このシステムは機械学習アルゴリズムを使用し、推奨オプションの追加や手術シミュレーション・プラットフォームの改良を継続していきます。
Ferré 氏は次のように述べています。「私たちのミッションは、従来の画一的な治療アプローチを、各患者に固有の身体構造や身体機能を考慮した個別化治療アプローチに変えるための革新的テクノロジーを、医療従事者や医療機器企業、そしてフットウェアメーカーに提供することです」
ダッソー・システムズは、3DEXPERIENCE Labを通じてDigital Orthopaedicsをサポートしています
トップ画像: Digital Orthopaedicsの臨床意思決定支援システムでは、個別化された足治療を分析および定義できます。(Image © steph photographies/ stock.adobe.com)