建築・建設October 23, 2017

製造工程も配慮した新しい建築生産手法

Patrick Mays, AIA このブログは、2016年10月にUNCシャーロット・カレッジと提携して発表された建築技術と実践に関するAIAのプレゼンテーションをベースにしています。 業界研究によると、建設は過去50〜60年間に効率性と生産性が低下した唯一の産業と言われています。
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Patrick Mays, AIA

このブログは、2016年10月にUNCシャーロット・カレッジと提携して発表された建築技術と実践に関するAIAのプレゼンテーションをベースにしています。

業界研究によると、建設は過去50〜60年間に効率性と生産性が低下した唯一の産業と言われています。 建設を最適化するプロセスは存在しますが、効率性の改善を実現する最大の課題の1つは、建築・建設会社が自らの効率性の認識をどこまで適格に行えるかにかかっている言われています。2013年のDodge Data&Analytics(McGraw-Hill Construction)SmartMarketレポートによると、米国のゼネコンまたは専門工事会社の約4分の1が、リーン・コンストラクションを実践、または実施していました。しかし、トヨタウェイやシックスシグマのような具体的なリーン製造戦略を使用したケースは8%を大幅に下回っています。 興味深いことに、この報告書は、リーンアプローチに精通していない企業ほど、自社工程を非効率的と見なしていないことを発見しました。

建設業界では、建設のリーン方式の効率改善の利点を理解することから効率化が始まります。それは長い道のりです。 しかし、リーン方式の効果に対する理解がなければ、建設現場の30%の無駄を削減する方法は限られてしまうでしょう。建設業界のリーン方式への移行はすでに始まっており、知識の豊富な建築家はこの変革をさらに推進しようとしています。この変革では3つの波が起こっています。

第一の波:ファブリケーションを視野にいれた設計

建築・建設工程における最大の無駄の1つは、複数の図面を繰り返し作成することです。多くの場合、設計者は確認申請、施工技術者は施工のために必要な2次元図面と3Dモデルを作成します。加えて、ファブリケーターは、ナットとボルトと、そして提供する部品がどのように組み合わされるべきかを記述する詳細な製作図を作成します。施工会社は足場、型枠、保管所と設備のスペースなどを示す施工手順の作成も必要です。一般的に言われている建設プロジェクトに含まれる30%の無駄の多くが、異なる専門家から専門家への異なるファイルの度重なる受け渡しと調整から起こります。

各工程で、例えば列にあるような単一の建物要素がどのように見られているかを考えてみましょう。

1. 設計者はレンガや石の外装などの完成した材料に焦点を当てています。 2. 構造エンジニアは全体の形状、コンクリートの密度、および柱が負うことのできる荷重の理解に焦点を当てます。 3. 構造のディテイラーは柱の内部の鉄筋と、梁と柱の間の接続に焦点を当てています。 4.施工者は現場で行わなければならない活動、たとえば柱を囲む型枠に焦点を当てます。 5. 施設管理者はビルが建設された条件と柱の設置の履歴に焦点を当てます。

これは、ひとつのビル内の同じアイテムでも5つの異なるソフトウェアパッケージを持つ5つの異なるパーティーによって作成された5つの異なるモデルとなる可能性があります。柱にかかわる履歴を多面的な視点で考える保守の担当にとっては、これは重要な問題です。

単一の建物要素が、5つの異なる分野で5回に分けてモデル化されるかもしれません。

今日、少数のBIMソリューションが、見える化のための3Dを超えて、複数の設計プロセス全体の統合を意識しています。しかしこれらのBIMの統合作業がデジタル環境で協業しながらできるソリューションは限られています。ファブリケーションまで視野にいれた設計プロセスでは、すべての関係者は、3Dモデル、コストとスケジュールの情報を統合することでプロジェクト管理のための完全な作業仕訳と情報の重みづけをすることができます。

第2波:施工手法の再考

従来の建設現場では、決められた作業手順に拘束され遅延が発生する場合があります。工場の環境で大規模な部材を事前に構築する場合、安価な労働力をより安全な環境で、並行して使用することができます。しかし、工場でのプリファブリケーションにも課題があります。事前に製作されたコンポーネントは、ユニットを建設現場と設置箇所までの配送を考慮する必要があります。設計では、各要素の重量やサイズ、設置の手順などの要素を考慮する必要があります

施工方法を考慮した設計では、建設プロセスをデジタル試作モデル上でシミュレートし、実行するための建築生産管理システムを作成します。PLMの環境に設計コンセプト、製造の詳細、設置手順などを統合することで、建築・建設の専門家は間違いを減らし契約要件を満たす以上のことができます。個々の作業者レベルの安全性や効率、計画された施工手順まで配慮した本当のシミュレーションにより、すべての関係者が高い価値の実現と無駄の削減をすることができます。

現場施工ではリーン方式による建設作業(左)であっても、現地での材料の保管と決められた作業手順の拘束により、スケジュール上のコンフリクトが起きます。 リーン製造方式(右)では、わずか2人の労働者が一度に多くの作業を完了し、現場施工よりもはるかに速く高品質なファブリケーションを生産することができます。

第3波:製造・据え付け情報と連携した設計

第3の波は、製造・据え付け情報と連携した設計です。製造と現場据え付けを配慮した設計の出発点は、工場プロセスの最適化と現場施工で最も効率的な据え付け作業を考慮することです。

このアプローチでは、設計者は、最終据え付け部材の配送を行う製造会社の能力を理解していなければなりません。例えば、プリファブコンクリートパネルは、片側に鉄筋が露出した状態で完成するのが最善の方法です。

完成したパネルの半分を使用することにより、出荷重量を削減することができ、パネル自体が最終的なコンクリートの打設のための型枠としての役割を果たすので、型枠の必要性がなくなり、現場の配筋、電気、配管の設置をより簡単に完了できます。作業者の安全性と生産性を向上させる方法として、また製品の品質を向上させる方法として、プリファブリケーションが一般的であることが証明されています。

工場生産のアプローチでは、モジュラー化された部材を輸送して設置するのに最適な方法を見つけなければなりません。場合によっては、これは遠隔地の高度に自動化された工場や部材の近辺の工場での製造および部位によっては現場施工するという組み合わせを考える必要があるかもしれません。このようなの戦略は、無駄を大幅に減らすことができます。

3つの波をサポートする新しいプロセス

今日、学卒のほとんどのデザイナーはモデリングツールの訓練を受けていますが、建設プロジェクトの無駄の削減についての深い洞察を持っているわけではありません。建築家はプロジェクトの早い段階で、製造者、ファブリケーター、専門工事会社と統合された3D図面上で緊密に連携して建築・建設プロセスを最適化することができます。

そのために建築・建設の専門家は、デジタル知識が豊富なサプライヤーへ早期にアクセスし、プロジェクトに関わるすべての関係者を保護するために、新しい契約体制を採用する必要があります。

さらに、建築家とエンジニアは、設計プロセスの早い段階で、施主に設計図書と製作図を協業環境で並行して作成するための製作図作成のための予算どりの提案をすることができます。

縦割り関係を壊すことで、明日の建築・建設の専門家は非常に複雑なプロジェクトでさえもこれまで以上に効率的に建設することができます。

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