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Design & SimulationMay 29, 2025

ゼネラルモーターズ、リーフスプリング式サスペンションにSimpackを活用

アメリカの多国籍自動車メーカーであるゼネラルモーターズは、リーフスプリング式サスペンションシステムの複雑なマルチボディダイナミクスをモデル化するために SIMULIA の製品を活用しています。
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Avatarダッソー・システムズ株式会社

見出し

※本ブログは、SIMULIA Blog (英語版)で既に発表されたブログの日本語参考訳です。

課題

リーフ スプリング式サスペンション システムの複雑な構造とマルチボディダイナミクスを、より効率的かつ正確にモデル化する方法を見つけること。従来のアプローチは複雑で手間がかかり、さまざまな車両に対するサスペンションモデリングが困難でした。

ソリューション

Dassault Systèmes SIMULIA チームのサポートを受け、SIMULIA Simpack ソリューションを使用してマルチボディ ダイナミクス モデリング ツールを作成しました。

成果

  • 効率性の向上 – これまで1日かかっていたシミュレーションが1時間で完了
  • Simpack の強力なソルバーによる高速かつ高精度なシミュレーション結果
  • 将来の車両開発を支える確信

古い技術が最良の選択肢となる場合もありますが、それを新しい設計に応用するのは容易ではありません。たとえばリーフスプリングは、17世紀フランスの馬車にまで遡る古いサスペンション形式の1つですが、現在でも広く使用されています。

「リーフ スプリングは非常に古い技術ですが、製造コストが低く、優れたサスペンション システムを提供します」と、ゼネラル モーターズ (GM) の車両ダイナミクスおよび荷重シミュレーション エンジニアである Ameya Apte 氏は述べています。

リーフスプリングは、アーチ状に湾曲した長い鋼板をパックとして重ねた構造をしています。さらに2層目、3層目と追加されることもあります。それぞれ異なる形状や枚数のリーフを組み合わせることで、無限の構成が可能となります。

「リーフスプリングの構成を変えることで、車両のサスペンション特性を調整できます」と Apte 氏は述べています。「小型車なら少ない枚数のリーフパック、大型車ならより多くのリーフを持つパックが必要です。基本的には、リアアクスルがどれだけの荷重を支えるかによって設計が決まります。また、車両の乗り心地やハンドリング性能にも影響を与えます。」

リーフスプリングの各リーフがどのように相互作用するかを詳細に分析するには、シミュレーションが不可欠です。

「リーフ内部の応力を調べる場合、実験で直接測るのはほぼ不可能ですが、シミュレーションなら可能です」とApte氏は述べます。「また、2枚のリーフ間の力を測定するためにロードセルを使用することはできますが、それでは構造自体を変えてしまいます。」

しかし、シミュレーション モデリングの観点から、これらのマルチボディ ダイナミクスを考慮することは非常に複雑で、大量のリソースを必要とする作業でした。そのため、各車両に適したリーフスプリングの設計は時間がかかり、ミスが発生しやすく、標準化が難しいという課題がありました。

「リーフ スプリングは何世紀も前から存在しているため、一見すると単純な技術のように思われるかもしれませんが、実際にはその逆です」とApte氏は述べます。「リーフスプリングの難しさの1つは、各リーフがサスペンションと連動して動くことで、リーフ同士の板間摩擦が発生する点です。さらに、シャーシとリーフスプリングの間にあるブッシュも周波数依存の特性を持っており、正確にモデル化する必要があります。」

自動車メーカーは通常、有限要素解析(FEA)ソリューションを使用して、車両設計に関わる複雑なジオメトリ、材料、物理特性をシミュレーションします。しかし、GMのリーフスプリング設計に関してApte氏は、より効率的にモデリングできるマルチボディダイナミクスツールを求めていました。そこで彼とチームは、SIMULIAの技術を活用して新たなモデリングツールを作成しました。

「このツールを使うことで、標準化したリーフスプリングを様々な用途に合わせてカスタマイズできるようになりました」とApte氏は述べます。「ユーザーは、リーフの枚数、プライマリ、セカンダリ、補助パックへの分布、形状、テーパーなどのパラメータを入力するだけです。その情報をもとに、車両のダイナミクス性能や荷重を予測するためのモデルを自動生成します。」

ツールの成功には 2 つの重要な要素がありました。1 つは、SIMULIA の技術サポートおよびR&D チームによる全面的なバックアップです。もう 1 つは、高精度なマルチボディ システムモデルの作成およびシミュレーションを可能にするSIMULIA Simpack の存在です。

Apte 氏は、Simpackの圧倒的なソルバー性能に特に感銘を受けました。これまで使用してきた他のツールをはるかに凌駕していたからです。

Simpack では、ソルバーパラメータの調整はほとんど必要がありません」とApte氏は述べます。「シミュレーション時間を短縮したり、一部の精度を向上させたりするためにパラメータを変更することはありますが、通常はそのままでシミュレーションは実行できます。この強力なソルバーのおかげで、結果を確認しながら物理現象を理解し、それを設計エンジニアに提供することができます。」

このツールにより、リーフスプリングのシミュレーションが効率的かつ正確に行えるようになりました。Apte氏とチームは、より高い信頼性を持ってシミュレーションを実施できるようになりました。「従来のFEAツールを使うと、リーフスプリングのシミュレーションには1日かかっていましたが、Simpackを使えば1時間で完了します」とApte氏は述べます。

Apte 氏は、このツールに搭載されたソルバーは今後の業界の進化や新技術の登場にも耐えうるものだと確信しています。

「この物理ソルバーは、人工知能やブロックチェーンのような革新的な技術によって廃れるのではなく、むしろ強化されると考えています」とApte氏は述べました。「新しい車両を市場に投入するまでの時間は、これまでの数十年で大幅に短縮されてきましたが、新たなツールを活用することで、さらに短縮できる可能性があります。長期的には、こうした新しいツールを学び、それらを組み合わせて最適なアプリケーションを生み出す未来を想像することが、私たちの重要な仕事になるでしょう。」



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